ボルト・ナット 
サービスマニュアルにはトルク指定の無いボルトが存在する知識
があればたいして問題ではなくなる。そういった意味で紹介します。
日本工業規格(JIS規格)で作られたボルト・ナットはメートルねじ「M○○×△△」表記されて
販売されている。 ”○○”の数字はネジの呼び径(mm)を表している。 ”△△”の数字は首
下長さ(mm)を表している。 以下にピッチと工具の二面幅を記します。
 
呼び径 ピッチ 工具の2面幅
並目 細目T 細目U 六角 小型六角 高力六角 六角穴付
D(mm) P1(mm) P2(mm) P3(mm) S(mm) S(mm) S(mm) S(mm)
M2 0.4 - - 4 - - 1.5
M2.5 0.45 - - 5 - - 2
M3 0.5 - - 5.5 - - 2.5
M3.5 0.6 - - 6 - - -
M4 0.7 - - 7 - - 3
M5 0.8 - - 8 - - 4
M6 1 - - 10 - - 5
M8 1.25 1 - 13 12 - 6
M10 1.5 1 1.25 16 14 - 8
M12 1.75 1.5 1.25 18 17 22 10
M14 2 - 1.5 21 19 - 12
M16 2 1.5 - 24 22 27 14
M18 2.5 - 1.5 27 24 - 14
M20 2.5 1.5 2 30 27 32 17
M22 2.5 - 1.5 34 30 36 17
M24 3 2 - 36 32 41 19
M27 3 - 2 41 36 46 19
M30 3.5 2 - 46 41 50 22
M33 3.5 - 2 50 46 - 24
M36 4 3 - 55 50 - 27
M39 4 - 3 60 55 - 27
M42 4.5 3 - 65 - - 32
M45 4.5 - 3 70 - - 32
M48 5 3 - 75 - - 36
M52 5 - 4 80 - - 36
「M○○×△△」と表記されて販売されているもののピッチは並目で、細目の
場合はJIS規格品の場合「呼び径×ピッチ×首下長さ」を表示している。

 ボルト・ナットには「○○T」と数字のみで表記される強度区分がある。 ”T”はJIS規格で「将来廃
止される」とされている表記で、数字だけのものはISO強度区分である。 力の単位も”N”に変更さ
れて自動車業界も工具メーカーもISOの基準に合わせるようになってきている。 しかし、Gooseは
’92に生産された車両で以下のボルトが多く使われているため、まず”T”を紹介する。
ネジの精度
JIS規格ネジは精度によって分類される。 自動車関係に使われているネジはほとんど”中”です。
はめあい
 区分
適用例 めネジ・
おネジ別
等級
特に遊びの少ない精密ネジ めネジ 5H
おネジ 4H
機械、器具、構造体などに用いるめネジ一般用ネジ めネジ 6H
おネジ 6g
建設工事、据付など汚れや傷が付きやすい環境で使われるネジ、めネジまたは熱間圧延棒へのネジ切り、長い盲穴へのネジ立てなどのようなネジにねじ加工上の困難があるネジ めネジ 7H
おネジ 8g

アルミボルト他の締め付けトルク
JIS B1083にネジの締め付け具合について書かれている文面はあるが具体的数値は記載されていないのが現状。 何かいい資料をと考えていたらトルクレンチで有名なTOHNICHIのホームページでよい資料を発見した。 そこには締め付けトルクの決め方として「社内で標準化する」とか「現在の締め付けトルクを推定して規格化する」とか「ネジの継ぎ手の破談トルクの70%・不都合を生じない最低トルクの130%」と書かれている。これに基づき標準締め付けトルクを決めている。 また、T系列の使用区分の表で区分分けしている。東日では[N・m]の単位を使っているが私は[kgf・m]の方が使い慣れているので換算して表記します。 (kgf・m)1[kgf・m]=9.806[N・m]
ネジの呼び径 標準T 0.5T 1.8T 2.4T
M1.0 1.99*10**-3 9.79*10**-4 3.57*10**-3 4.79*10**-3
M1.1 2.75*10**-3 1.38*10**-3 5.00*10*-3 6.63*10**-3
M1.2 3.77*10**-3 1.89*10**-3 6.73*10*-3 8.97*10**-3
M1.4 5.91*10**-3 2.96*10**-3 0.011 0.0143
M1.6 8.77*10**-3 4.39*10**-3 0.016 0.0210
M1.8 0.013 6.53*10**-3 0.023 0.0311
M2.0 0.018 8.97*10**-3 0.032 0.0428
M2.2 0.023 0.012 0.042 0.0561
M2.5 0.037 0.018 0.066 0.897
M3.0 0.064 0.032 0.116 0.153
M3.5 0.102 0.051 0.184 0.245
M4.0 0.153 0.076 0.275 0.367
M4.5 0.219 0.110 0.398 0.530
M5.0 0.306 0.153 0.551 0.734
M6.0 0.530 0.265 0.938 1.244
M7.0 0.857 0.265 1.530 2.040
M8.0 3.773 0.428 2.244 3.008
M10 2.498 0.632 4.487 6.017
M12 4.283 2.142 7.750 10.198
M14 6.731 3.467 12.441 16.928
M16 10.81 5.405 19.376 26.004
M18 14.89 7.444 27.534 35.692
M20 20.80 10.40 37.732 49.970
M22 28.75 14.28 50.989 68.326
M24 36.71 18.36 66.286 87.701
M27 53.03 26.51 95.860 126.45
M30 71.38 35.69 128.49 173.36
M33 97.90 48.95 178.46 234.55
M36 126.45 63.23 229.45 305.93
M39 163.17 81.58 295.73 387.52
M42 203.96 101.98 367.12 489.50
M45 254.95 128.49 458.90 611.87
M48 300.84 152.97 54.049 713.85
M52 387.52 193.76 693.45 938.20
M56 489.50 244.75 877.01 1182.95
M60 60167 300.84 1080.97 1427.70
M64 734.24 367.12 1325.72 1784.62
M68 897.41 448.70 1631.65 2141.55

タップを切るには
メートルネジ(平目) メートルネジ(細目) インチネジ
タップ寸法 ピッチ 下穴用ドリル径 ピッチ 下穴用ドリル径 タップ寸法 山数 下穴用ドリル径
M2 0.4 1.6 - - - - -
M3 0.5 2.5 - - W1/8 40 2.6
M4 0.7 3.3 - - W3/16 24 3.7
M5 0.8 4.2 - - - - -
M6 1.0 5.1 0.75 5.3 W1/4 20 5.1
M7 1.0 6.0 - - W5/16 18 6.6
M8 1.25 6.8 1.0 7.0 W3/8 16 8.0
M10 1.5 8.5 1.0 9.0 - - -
M12 1.75 10.3 1.25 10.3 W1/2 12 10.7

SUZUKIのボルトのボルト品番の付け方の共通性調査
(調査中)これがわかると色々流用が可能となり、また、市場価格との差が表に出る

ネジの種類 - 呼び径(mm) 首下長さ(mm)
01547 - 06 90 7

中古車購入時の注意
 他のページでも書いたと思うが何ども質問が定期的に入るのでトルクに関連するページにも書いておく。
中古車を販売する上で業者側は基本整備を行うわけだが、サービスマニュアルを見て規定トルクを確認
した上でO/H作業を行うケースは少ない。 またSSTも持っていないため、部品が歪んでいたりする場合もある。

そもそも上の表はねじの剛性から許容できるトルクであり、マニュアルで紹介するトルクと異なる。
これは締め付ける鋼材がアルミの鋳造などでねじの許容できる限界のトルクをかければアルミ鋼材が割れや
潰れたりする。 走行中緩んでもいけないため、メーカー側で安全面を考えた数値でもある。 またGoose350
の倒立サスペンションのアルミケースを外側から圧をかけたり、ベアリングが入る箇所のトルクだったり、
性能へ影響しかねない部分も車体1台を見ると多く存在する。 調整点だけでなくトルクも重要であることは
改めてお伝えした。 

<@現状の店側の問題点>
・SBSなど大きなメーカーの店舗では自社製品のサービスマニュアルをかなり保有しているしディスク保管している
 (過去10年国内販売した車両は整備ができる販売店で保管している。それより古い車両は店舗や車種により異なる)
 。他メーカーであれば大きなメーカーの店舗でも規定トルクの把握はメカニックが個人で調べなければ判らない状態だ。
 生産中止であり部品も廃番になりつつある生産開始から10年経つGooseは店舗にサービスマニュアルがなくてもおかしくない。

・専門店以外の小売店やメーカーを問わない大量中古車販売メーカーでのサービスマニュアルの保有率は少ない
 (人気車種、新車種をのぞく)。 Gooseの整備を行ったことがある人も少ない


 ご存知だろうか大型店の中古車の整備として小さなバイク屋が下請けして修理していることがあることを。
自社で整備しているとは限らないのだ。 トラブルが出れば下請けに責任を転化する。 安価で整備依頼が来る。
仕事が少ない街の小さいバイク屋はこういった仕事を請け、利益を出している。 大型店側は把握できていないんだ。
  生産メーカー側は安全面を考え、定期的に締め付けトルクの確認を推奨しているのだが、中古車販売店では判らない
規定トルクを調べるといった作業をしていない現状がある。

<A中古車ニーズの問題>
・「中古車なのだから新車より安くて当然!」普通そう思うのでは?
 比較して安いのを買いたいと思うのでは?  店側は競争です。 技術があってもニーズがなければ
 お金はかけられない。 整備のたびにマニュアルを買う余裕などないのです。
 あえて問題と感じなければボルト類は外さないのだ。(これはパーツ販売も同じで、外さなくて済むならトラブル回避のため外さない)

<解決策>
顧客ニーズが生んだといってもよい現状問題を解決する方法は、自分でチェックするか、仕事が出来る小さな店にマニュアルを
持って行き依頼する方法だ。レースを行う多くの店は判ってくれるはずだ。 振動がある単気筒はねじが緩みやすい。
定期的な点検をすることを考えればトルクレンチとノギスなど買い自分で整備したほうが良い。
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