(基本メンテを見直そうNo2)

チェーン・スプロケット  
チェーンについて  下図をご覧ください。どちらが手入れされているチェーンか判りますね。
チェーンはシャフトドライブに比べるとたわみや弾性によるショック吸収性が格段に優れており、ギヤチェンジやスロットルのオンオフにショックを伴いにくいし、駆動系の強度への負担は少ない、また、スプロケットの交換で簡単にセッテイングを変更できるため、レース車輌にも一般車輌にも用いられることが多いのです。しかし、チェーンには、伸びが生じるため調整が必要なことと、清掃・給油が必要なこと、飛散したオイルを拭き取ること…といったメンテナンスが不可欠である。
 今日販売されているチェーンルブ(オイル)のほとんどが飛散を抑えたタイプであり、清掃を怠り、給油だけを続ければ、写真右のよう動きの硬い物になってしまう。伸び限界は10リンクの長さで判断するが、使用限度が来る前に使えなくなる。(今回購入した中古車についていたものだ。中古車購入時は必ず外してチェックしよう。チェーンジョイントは500円±200円程度なので、清掃時の交換を勧める。 
同じ520チェーンでもピンの太さが異なる。 ジョイントは同じ品番の物を購入してください。
取替・清掃が出来るように、まずチェーンを知ろう!

チェーンの取扱説明書を再確認
チェーンを交換した人なら何処に書いてあるかは知っているはず、だけど交換するときにしっかり読んでないという方もいるだろう。 
お店に交換してもらっている人は読んだことが無く何時交換していいか判らないという方もいるようだ。 そこで知っている人も再確認するためにも箱書きを書いてみる。

箱書き内容 参考情報
[警告]
1.チェーン選定時の注意
車体に適合しないチェーンは走行中に切断するなどの死亡事故につながる原因になり危険です。ご自分の車の企画に適合したチェーンを選定しご使用ください。
2.チェーンはバッテリー液などの酸性溶液が付着すると切断し、重大な事故の原因となります。もし付着した場合は速やかに廃却して新しいチェーンに交換してください。
3.回転中にチェーンをスプロケット意外の金属に接触させないでセットするようにご注意ください。摩擦熱によりプレートが疲れて切断の原因になります。

Gooseのチェーンリンク数

- スプロケット歯数 STDチェーン×リンク数
ドライブ ドリブン
- 14T 45T 520×106
250STD 14T 44T 520×106
- 14T 40T 520×104
- 15T 40T 520×104
350STD 14T 36T 520×102
- 15T 35T 520×
- 16T 35T 520×

チェーンピッチサイズとは?

 ローラチェーンというものはイギリスで発明された背景があり、今でもインチが用いられます。 ドライブチェーンのサイズは基本的に『520』のように3桁の数字で表され、最初の1桁目がピッチ・後の2桁が内幅(ローラーの長さ)を示しています。 ピッチはピンの中心から中心までの距離を示します。 ピッチが大きいほどチェーンプレートも大きくなり強度も高くなりますが、その分重くもなります。 内幅とはプレートに挟まれるローラーの長さを示しています。内幅を大きくすればそれにかみ合うスプロケの幅を厚くでき、力を受け止める面積も広くなります。 

チェーンサイズ ピッチ チェーン内幅 プレートサイズ
415 4/8
(12.7mm)
1.5/8(4.76mm) #40
420 2/8(6.35mm)
428 2.8/8(8.89mm)
520 5/8
(15.875mm)
2/8(6.35mm) #50
525 2.5/8(7.93mm)
530(JIS:50) 3/8(9.53mm)
532 3.2/8(10.16mm)
630 6/8
(19.05mm)
3/8(9.53mm) #60
632 3.2/8(10.16mm)
1インチ=25.4mm
[注意]
1.チェーンの汚れはチェーンの寿命を縮めます。 チェーンの洗浄にはガソリンなどの揮発性溶剤を使用しないでください。 チェーンに伸び(磨耗)など悪影響を与えます。 チェーン洗浄にはチェーンクリーナーをご使用ください。
2.チェーンやその部品に加工を加えてはなりません。チェーンの強度を弱めて切断の原因となります。@チェーンの部分に熱を加えたり溶接を行なわない。A古くなり伸びたチェーンを切り詰め、継ぎ足しを行なわないB一度抜いたピンは再使用しないで捨てること。
3.チェーンを設定した時前後のスプロケットの面が同一線上にあるようスプロケットの芯出しを行なってください。芯がずれているとチェーンが変磨耗したり,伸びたりし、切断の原因となります。
4.ジョイントリンクはチェーンの重要部品です次の事項を厳守してください。@クリップタイプジョイントのクリップの装着はラジオペンチなどを使用して、チェーン進行方向に背の丸い側をセットする。Aジョイントリンクプレートの孔をドリルなどで拡大しないこと。Bカシメタイプジョイントは指定工具でセットする。Cジョイントリンクはチェーン本体と同じ銘柄種類の品を使用する。Dチェーンの再装着の場合は新品のジョイントリンクを使うこと。
<清掃>
 理想はやはりチェーンを外して行いたい。 常に潤滑されているチェーンリンクは砂や埃、雨水にさらされ、消耗品の中でも過酷な状況にある。 チェーンが無ければ走ることすら出来ないのだから、たまには灯油のお風呂につけてやりたいなんて思う。 清掃の仕方だが、シールチェーンはシンナー・ベンゼンにゴムシールが破損するため、ガソリンなどの使用はさけるべきである。 そのため灯油が用いられることが多い。 またはメーカーから販売されているチェーンクリーナーは満遍なく汚れが落ちないため、スプレータイプはおすすめしない。 灯油につけて歯ブラシでごしごし・・・ Oリングが無い強化チェーンなら余ったガソリンを使ってもよい。 10分ぐらい付けておいてから、ブラッシングすると良い。

クリップタイプの固定方向は「進行方向からはめる」と覚えておくと良い。 

遠心力を考えた緩み防止だが、サーキット同様にアウタープレートとクリップをワイヤリングし固定するのが望ましい。

設備資料(チェーン)単位(mm)

N審>
項目 排気量 標準値 使用限度
ドライブチェーン 250cc 種類 DID520VC5,RK520SOZ2 -
リンク数 106 -
20ピッチ間の長さ 317.5 319.4(1〜21ピン目の長さ)
350cc 種類 DID520VC5,RK520SOZ2 -
リンク数 102 -
20ピッチ間の長さ 317.5 319.4(1〜21ピン目の長さ)
ドライブチェーンの緩み
(空車時、センタースタンド使用)
250cc 20〜30 -
350cc 20〜30 -


 まず、チェーンの各部の名称は上図の通りです。 右側3つはジョイント部ですね。 整備性は明らかにOリングなしのクリップタイプの方が良いでしょう。 合成(強度)やグリス保持を考えればRJ<FJ<XJとなります。 グリスの固着や錆びは走行時のフリクションを増やすばかりかチェーンの破損やスプロケットの異常磨耗を引き起こす原因となります。

[交換時の注意]
1.周囲の状況を確認し、安全な場所で車をスタンドアップしてください。
2.安全確保のため、必ずエンジンを停止しキーを外してください。
3.不用意に後輪を外したり、第三者に回されないように注意してください。チェーンとスプロケットの間に手を鋏まれて大変危険です
[交換手順]
1.すでに着いている古いチェーンのジョイントリンク箇所をラジオペンチなどを使いクリップを外し、切り離してください。シールチェーンのようにジョイントリンクが無い場合は専用のチェーンカッターで切り離してください。
2.切り離したチェーンはすくに車体から外さないでください。
3.切り離した古いティーンの端に交換する新しいチェーンをジョイントリンクで仮止めしてください。
4.古いチェーンの仮止めしてない一方を引きながら、新しいチェーンを前方スプロケットへ送り込んでください。
5.仮止めした部分が手元に戻りましたならば仮止めを外し、古いチェーンを取り外してください。
6.新しいチェーンの両端を新しいジョイントリンクで図のようにラジオペンチなどを用いて組み付けてください。シールチェーンのようにカシメタイプのジョイントの場合は専用工具を用いて組み付けてください

こちらはダイドーの”かし丸君”チェーンのカットと圧入・かしめが1つで出来る優れものです。少し高いけど工具は一生物!いいものを持ちましょう。
[チェーンは消耗品です。正しい保守と点検が必要です]
1.チェーンはその車のマニュアルに従い、適正な弛みを持たせてセッティンクしてください。張りすぎは早期の伸び、弛みすぎはスプロケットからの脱落とそれぞれ切断、事故の原因となります。
2.ブラシなどでの洗浄、清掃はシールチェーンのOリング若しくはUリンクを傷つけ、劣化させますので使用しないでください。
3.シールチェーンのOリング若しくはUリンクが一箇所でも欠落するとその部分に磨耗(伸び)が集中し、チェーンの寿命を縮めます。 Oリング若しくはUリング欠落の有無を絶えず点検してください。
4.チェーンには潤滑油が必要です走行の前後にチェーンオイルをピンを中心としたプレートとプレートの間に注油してください。 揮発性の潤滑油はOリング若しくはUリングを傷めるためシールチェーンには使わないでください。
<給油>
 清掃後はチェーンメーカーのチェーンルーブを使いチェーンの摺動部とローラー部を中心に塗布し、アウタープレートの外面についたルーブは拭いておく。 チェーンの両端を持ち、波打つように振ってやる。 これでチェーンの動きを確認できる。 給油時期は500kmに1度はして欲しい。

<チェーンの調整>
たるみ量は上側のチェーンを指で押し、、目安として20〜25mmに調整するのが望ましい。
チェーンの張りすぎ、緩みすぎはチェーンの衝撃による破断又はスプロケからチェーンが外れる危険性があります。
[チェーン交換時期は乗る人、乗り方、道路状況、気象状況、手入れの
仕方などでそれぞれ異なり、走行距離数では表示が困難です]
安全のためには次の状態がなった場合は交換してください
@駒が固着を起こし、チェーンが波形になっている場合
A固定しているはずのピンがクルクル回る場合
Bチェーンが伸びてアジャスターで調整できない場合
Cチャラチャラとチェーン音が気になる場合
Dピンを中心としてプレートに傷を発見した場合
EシールチェーンでOリング若しくはUリングの欠落を発見した場合
Fプレートが磨耗してひょうたん型のクビレがほとんど無くなったもの
Gチェーンの交換時期はスプロケットの交換時期でもあります。 スプロケットの歯が痩せていたり波形になっている場合は折角チェーンを交換してもチェーンの寿命を短くし、チェーンハズレもあり危険です。
<使用限界>
 伸びたチェーンの使用限界も知っておく必要があります。 たとえば、520チェーンの21ピン間の使用限度寸法は319.4mm(チェーンにより、若干違います。詳しくはチェーンメーカーに!)と決まっているのです。  上の左側の写真のように振り回して全リンクが自由に動く状態であったとしても限度寸法を超えていれば、チェーンの切れる危険性も出てきますし、その時は、スプロケも消耗しているでしょう。 

<チェーン交換時には、スプロケットの交換も考える>
 結局は歯車! チェーンが伸びていれば、それに合わさり周ってトルクを伝えていたスプロケットの形状も同様に消耗している。 見た目には判らなくてもどちらかが新品でどちらかが中古であれば、噛み具合は悪く、新品を入れた物の消耗は著しく早くなる。

チェーンの張力と伝達動力を考えよう。
チェーンのゆるみ側には張力を生じないから、有効張力は張り側の張力に等しい。 張り側の張力F1[kgf]は、遠心力とチェーンの自重を無視すれば、伝達動力P[kW]とチェーンの平均速さVm[m/s]とから求めることができる。
F1=102P/Vm
ローラーチェーンの常用荷重(張り側張力F1)は、チェーン破断荷重の1/7以下とされているのでF1の7倍以上の破断荷重に耐えるローラーチェーンを選ぶ必要がある。

ドライブスプロケット(原車)の回転速さをn1[rpm]・歯数をz1[枚]、ドリブンスプロケット(従車)の回転の速さをn2[rpm]・歯数をz2[枚]とすると速度比iが求められる。
i=n2/n1=z1/z2

チェーンスピードは断続的に変化するが、チェーンピッチp[mm]が判ればチェーンの平均速さVm[m/s]は求められる。
Vm=p・z1・n1/(1000×60)=p・z2・n2/(1000×60)


チェーンの張り(ゆるみ)は車種ごとに設定されていることをご存知ですか

通常1〜2cmと覚えている方が多いと思います(某有名メーカーのチェーンの箱に目安が書かれていたはず、それを覚えているのでしょう)が車種別に設定があるのです。
考えてみれば当たり前ですよね。 スイングアームの長さが変わればたわみ率も変わりますし、形状が違えば接触する部分から回避するためにも調整範囲を狭めたりするのです。
Gooseは20〜30mmとされています。 ちなみにRG125γは年式により異なり’88までが15〜25mm、’91〜’95が25〜35mmとなっているのです。 調整を誤ればチェーン及びスプロケットの
消耗を早めたり、酷い場合外れたりします。 ご注意ください。  よくお店で伸びることを想定して若干ゆるみを少なめにしたというところがありますが、知っていたら本当はしない行為です。
張りすぎはチェーンの伸びが早まります。 理解できていない店のすることです。 伸びたら車載工具を使い自分で調整すればいいのです。 日常点検範囲です。


チェーン調整で気付いた問題
お客さまのチェーンは新品のようだったが初期伸びした後なのかエキセントリックの最大限の張り位置でもたるみが多いことから2リンクカットし新しいチェーンジョイントを入れることとした。
チェーンカットする時何だか通常のカシメを外す時と比べ手応えが無い・・・というか力を入れて回してない・・・おかしい?
一本抜いたあと、ジョイント部を見てみるとピンが内リンクに押し戻されジョイントリンクプレート側でカシメられていないことが判る
オイルシール入りは確かに硬いそのためカシメはコツがいるのだ。左の写真のようにジョイントを手で組んだ後、面圧がかかるプライヤー等でピンの頭ををジョイントリンクプレート側に出してやる。(内リンク側にピンが固定されているので押し入れる時はピンの底側にプライヤーの面を合わせ握る感じだ)
その後私の場合はDIDのかし丸君を使う(ちなみにチェーンカットもかし丸君でできるが上のように別のカッターを使っている。間違い防止が大きな理由)
上(新)が私が行ったカシメで下(旧)がカットした2リンクに付いた以前のチェーンジョイントです。 見た目でわかると思います。 下の方は想像付くと思いますが緩んでいたチェーンがウエーブし何かの拍子でジョイントリンクプレートが脱落・・・気付かず走ればそのうちにトルクがかかった時ジョイントが破断なんてこと実際にありますから注意してください。

次にスプロケット
左図は、PITに来られたGooseのスプロケット。
書いてある通り「使用限界」です。

このままのり続けると細くなった先端が飛び、山が
急激に減ります。

山がなくなることでチェーンは緩み、やがては
走行中に外れることも。



とても危険なのです



チェーが切れ、足に当たって怪我をした方もいるのです。



優先すべきはライダーですが、スプロケの減りはエンジンからの
トルクの伝達能力を下げます。
・スタートの時の伝達の遅れ
・スロットルを戻し、エンブレをかけるときの伝達の遅れ
・走行中のアクセル レスポンスが悪く感じる
・チェーンのジャンピングが起き、加速時不安定になる。



スプロケとチェーンは消耗品のため、減るのは当然です。
減った分をチェーン張りで補うのですが、調整時に消耗は
必ず見てください。
スプロケットはエンジン側に付いている物を「ドライブ(主軸側)」、ホイール側に付いている物を「ドリブン(従軸側)」と呼びます。 スプロケットの選択でトルク型にも高速型にも調整できるので走行場所に合わせ適切に合わせるのが理想です。

ほとんどのスプロケットには刃数の刻印が打たれており、ドリブンの数を大きくすれば刃の山の大きさは変わりませんので必然的にドリブンの直径は大きくなります。  ドライブ<ドリブンの差が大きくなる程トルク型に向き、ドリブンをドライブの刃数に近づければトルクがなくなり、代わりに高速が伸びます。 大凡だがドライブ刃数1に対しドリブン刃数3だと覚えておくと良い。 たとえば上りの峠を攻めに行くならチェーンの駒数を変えずドライブだけ1サイズ小さくする。高速にのって長距離を走るならドライブを1サイズ大きくし理論的な高速化を行うのもありだ(極端に最高速度は伸びない。サーキットではタイムで分かる)
Gooseの純正スプロケット刃数
- 250cc 350cc
ドライブ 14T 14T
ドリブン 44T 36T
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