フロントフォークの障害 
 こちらはオイルシール不良による倒立フォークのオイル漏れの写真です。 そのまま走っているのでブレーキディスクは変な焼け色をしています。 そればかりかホイルやタイヤにもかかっている様子。 これにより、転倒したものと考えられます。 
正立に比べ倒立は石はねでインナーに傷をつける可能性も高く、シールゴムの硬化により漏れるオイルの量も多いのです。 正立でも倒立でもオイル漏れは致命的です。 注意してください。

さびたインナーを紹介します。
倒立フォーク 正立ホーク 中古車で、すでに錆びている場合
極力インナーチューブを交換するか修理(軽く削ってもらい、メッキし直し)に出してください。 しかし、お金が無いという理由でほっておくくらいなら1000番以上の耐水ペーパーで錆の浮いた部分を均し、錆止めに薄く耐水性のあるグリスを塗っておいてください。 もちろん応急処置でしかないので一度やればずーっと良いわけでないです。 インナーチューブ交換まで定期的(保管状況による)グリスを塗りなおし、錆の状態を確認してください。
 ブレーキディスクに付いたホークオイルが焼きついています。  原因はホークの錆。 オイルシールを傷つけ、ついにはオイル漏れを引き起こします。 予防対策として薄くグリスを塗るということも良いでしょうが埃等が付きやすくなり、結局、まめな清掃が必要です。 最低でも、雨天走行後が拭いてあげたいところですね。 リヤサスも同じですよ。 ちょっとのことでこんなことを引き起こすのですから注意しましょう。  エンジン交換依頼を受けた車体の正立フォークだ。 ところどころ錆が浮き、シールを傷つけ、オイルが漏れている。 倒立に比べオイルが漏れ出しにくいが、漏れる原因は何処かにある訳だし、ほっといて直るものではない。 正立のシール交換は簡単なので早めに直しておきたい。

事故で潰れたフォーク
私の勘違いだったのかOH、シール類交換として依頼を受けた時の物です。 お客様は横浜から名古屋まで高速道路を使って自走してみえました。  もちろんディスク、キャリパーはフォークオイルでドロドロ。 大変危険な状態で実物を見た時、ゾッとしました。 結局最悪のケースを考えて用意をしておいたスペエデのフォークに交換し事なきを終えています。 こういう場合、私がそちらに出向きますので、危険な思いをしてまで来ちゃダメです。
近畿地方のオーナーさんからスペシャルエディションのフロントフォークのOHを依頼を受けたのですがブレーキ側のアウターチューブが潰れオイルが漏れ出した状態だった。 そのときはOHするよりPITにあるスペシャルエディションのフロントフォーク二交換してはと提案し交換した。 手が空いたのでオーバーホールしてみることに。
オイルを抜いてスプリング、インナーロッドを外した後、アウタチューブとインナチューブを分離しようとしたがオイルシールが抜けない。 事故で潰れた部分の内面ではワッシャが引っかかり抜けないのだ。 そこでサンダーで部分的に切り出した。(写真) これで抜くことは出来たが少々インナーチューブを傷つけてしまった。 アウタの凹みはあるがインナーチューブの曲がりはなかった。(定盤にVブロックを置き4点ダイヤルゲージで計測してみた) 消耗品およびアウタチューブの交換で済む場合もある。 しかし、自分のならともかく、お客さまのは交換を勧めたほうが良いだろう。
見た目では殆んど判らないフォークの曲がりが走りに影響します
走れるから大丈夫! しかし、フロントフォークのオイル交換やシール交換などをした後、妙にアクスルシャフトがスムーズに入らない? そんなこと無いです? ステムを緩めてインナーチューブ(倒立の場合アウターチューブ)を回転させると入りやすい部分が出てきたり… 明らかにフォークが曲がっているということも。 しかし、フォークの動きが悪いという現象を今まで幾つか見てきましたがインナーチューブが曲がっていない場合もありました。 例えばオイルシールのスプリングが脱落し、インナーチューブとオイルシールに引っかかったり、ハイサイドで内部のメタル類の歪みやオイルシールの傾きが出ていたり、ダストシールが破けて汚れがオイルシール上部にたまっていたり…。 複数要因があげられます。 まずはOHしてインナーチューブだけの状態で計測する必要があります。
サービスマニュアルには具体的数値なし
参考データ
YZ250 曲り使用限度:0.2mm以下

掲示板で判った見落とした障害
お客さま「フロントフォークから゙漏油」を見てきづいたんだけど、フロントのアクスルシャフトが曲がってたりすると同じようなことがおきますよ。 簡単に言うと、フロントフォークの整立がでなくて、フォークに負担がかかっちゃうんですね。 この場合、インナーフォークを代えてもまたオイルが漏れますよ。(経験談) アクスルシャフトを回転させてみて、フロントフォークが変な動きをしなければOKです。

kamo今回のはインナーチューブを交換しているんだ。 瀬戸のPITで見たと思うけど定盤もVブロックもダイヤルゲージもあるのでもちろん計測して付けてるよ。 外したのがPITにあるからそれも計測しておくかな。 補足だけどアクスルシャフトを回転させてみて、フロントフォークが変な動きをしなければ曲がりが無いというのは何処にも書いてないことで正しい判定でないよ。 よくバイク屋で外したホイルがフォークが曲がっていて填まらないとかあるんだ。 その時先にホイルを仮組みし、ホークを回転させて位置決めする作業をする場合があるんだけど、(パーツなんてないしお客が直すというか判らないから応急で。親切な店なら教えるが、お客によっては知りたくない情報だと判断し言わないケースのが多い。 自分の店にそれだけの作業が出来る人がいないとか)こんな時は間違いなく曲がっている。 逆にスムーズに動いても曲がっている場合があるんだ。 フォークは外に出ている部分は極一部。 SMを見て判るようにOHして曲がりを調べるしか方法はないよ。 判ると思うけど経験談はもっとひどいのいっぱい見てきてるから…。

お客さま言いたいことが伝わってないようなので。。 インナーチューブが曲がってるんじゃなくて、アクスリシャフト側が曲がってるんじゃないの?って問いかけです。 フォーク単体って結構気にするけど、アクスリシャフトって見逃しちゃう事多いからね。  計測済みであれば、関係ないのかな? そんな事例もあったよってことで。 ありがとうございます

kamoフォークだけ持ってきてくれたからフォークだけしか計測してないんだ。 まぁ、よく知った人(バレバレかな? 一応すべて名前は隠しています)だからフォークで問題が解消できなきゃ来るよ。 整備知識もある人だし。 足周りって言うのは確かにちょっとのことで大きな差が出てしまいます。 ホイルの歪み、ベアリングの状態、シャフトの歪み、トリプルツリーの一部変形、もちろんフォークも。 全部整ってまっすぐ走れる状態を作っている悪ければ一つ1つ改善する必要があるね。 (お客さまのって)中古で買ったんだっけ? ほら、ホイルの件もあったじゃん。 経験済みっていうのが何となくね。

アクスルシャフトの曲がりはシャフトのページにも書いたけどマニュアルに使用限度が明記してあり、やはり外して定盤の上にVブロックを載せてその上にアクスルシャフトを載せ回転させ、ダイヤルゲージで計測するしかない。 アクスルシャフトを回転させて動きがスムーズではないというのはフォークスプリングが片方縮んでいたり、フォークのクランプ位置が違ったり、フォークの曲がり、ホイルベアリングの曲りでもないとは言い切れない。特に言葉で書くときは表現力に限りがあるから難しい。たぶん周期的に摩擦の多い部分がわずか0.25mmが使用限度なので手で判断はGooseばかり見てきた私でも判断できないところ。このホームページ、結構詳しい人が見てるから、後々注意されないように書いておくね。

お客さまたしかにサービスマニュアルはシャフト振れを計測するように書いてあるんだけど、問題はフォークに収まる部分(右側の太くなっているところ)が、歪んでいたですよ。ここが歪んでいると何が起きるかっていうと、シャフトを回転させるとフォークが上下、前後に動いちゃうんだよね。って、事はフォークがまっすぐ伸縮しないって事。この状態で走ってると、シールやスライドメタルなんかに負担がかかってすぐに駄目になっちゃう。
以前、ホイール交換してもらったときにシャフトを計測(細い部分のみ)してもらって問題なかったけど、この太くなってる部分は計測してなかったはず。すぐにオイルがにじむので調べていたら、シャフトが歪んでいるのを発見したんです。交換したらその後は問題なしですよ。

kamoこんなところ曲がるんだ。(下のブーツ部だと勘違い。アクスルシャフトならシャフトのページの方法で計測可能ですね) あの後、転倒とかしてますか? (お客さま)の運転を見ていると無茶のない運転の仕方だと認識しているので。 ホイル交換のときもアクスルはすんなり入っている。(でなければ計測するからね) これ、トラブルシューティングのデータに入れた方がいいね。 計測の仕方も難しい。

お客さまホイール交換の前に転倒暦ありです。 たぶんそのときに、フレーム、フロントホイール、フロントアクスリシャフトをやっちゃってます。 なので、Kamoさんにホイール交換してもらったときに、アクスリシャフトは歪んでたんですよ。 あのとき、外したキャリパーがすんなり入らなかったの覚えてる? あれも、アクスリシャフトが歪んでたのが原因なんですよ。シャフトの向きによって、フロントフォークが右向いたり左向いたりするから、キャリパーがディスクに対して平行にならない。 なので、さっきまでついてたキャリパがーが入らなくなった。って感じだね。
ブーツ シャフト挿入面が歪むのであれば上の図のように定盤に載せ、直角定規で測ることが出来る。
今度は内面だ左右の穴がズレると言うならトースカン(ハイトゲージ)で高さを測ることが出来る。 さらに内面の面が出ているかだが数値比較が難しい。直角定規など真っ直ぐな面が出ているものを当て、光を通して見ることでひずみの確認はできるだろう。 その他内パスやダイヤルゲージを用いる方法がある。計測誤差が出やすいのが問題だ。 目視の方が良いかもしれない。
ブーツとインナーチューブの固定部の歪み
これについては数値化が比較的楽である左右OHした時に平行(ハイトゲージ・ダイヤルゲージ)と各部長さ(ノギス・巻尺)と直角を見れば良い。 左右がバランスできていれば影響は出ないはずである。

O/H依頼があったフロントフォークについて
ご依頼内容
○キツい走行は余りしないので、バネはそのままでも良いです。
○同理由で、オイルは8番で良いかと思いますが、どうなのでしょう?
○先にも書きましたが、6000km前にメタルやシールを交換しましたので、使えれば使って下さい。(オイルシールは×でしょうが)
○曲がり、傷を修正か、中古品があれば交換お願いします。
○アクスルのチェックもお願いします。

アクスルシャフトから計測(mm)
- 使用限度 @ A B C D
振れ幅 0.25 0.03 0.02 0.12 0.10 0.06
ベアリング面も跡が付いていて、ダイヤルゲージ計測中、アクスルを
ゆっり回してもジャンピングする箇所がある。 肌荒れしているみたいだ。
攻めない・交換したばかり(でも6000km)
テレスコピックだ、インナーーチューブの付け根裏面は摩擦が大きいのは仕方が無い。
しかし、薄いが縦傷は先回O/H前から付いていたのではないだろうか? 磨いた跡も
ない。 サーキットで結構攻めているということなら、短期間で新品のインナーチューブに
爪が引っ掛からない程度の縦傷はできるだろう。 フルボトムするような長さの傷は無い。
組んだ状態での4方向からの斜め押しではシコリはない。
左は預かる前からオイル漏れがあると聞いていたが、ダストシールを外すと
明らかにオイルが染み出している。 ダストシールやオイルシールから
交換時期は5年以内ではある(ゴムの弾性・艶から推定)。
こちらはインナーーチューブの付け根の360度に爪が引っ掛からない程度の
縦傷があり、 こちらは指の腹で傷があることがわかる程度の傷だ。
こちらも過去にメンテナンスした跡がない。 これも最近の傷で無いだろう。
組んだ状態での4方向からの斜め押しではシコリはないがオイルが染み出す。
オイルの漏れがある左側からO/Hしたのだが、キャップやオリフィスのシャフトの
締め付けトルクが異常に高い。 通常は1/2TOP製のラチェットスピナーを使い、
簡単に外れるアルミキャップだがラチェットを痛めそうだぅたため、エンジンO/H用の
1/2Ko-ken製1/2スピナーで緩めた。 オリフィスシャフトの共締めの箇所は
狭いため通常Betaのコンビネーションを押さえに使うのですが、硬すぎるため、
HAZET製のギリギリ填る長めのオープンエンドで固定し、何とか外せた。

 問題は右側だ。 フォークだけで送られてくる場合、アンダーブラケットを固定し、
(床はフロアーポンビュー敷き)アンダーブラケットを踏みつけてフォークが回転しないように
キャップを外すのだが、1/2Ko-kenロングスピナーがしなる・・・。
Gooseの全部品、全箇所が規定トルクで締めていれば、どんな腐食していても、
なめるか、緩む。 おかしい。 Oリングが張り付いているレベルではない
トラックに使う1インチKTC製極太スピナーで全体重をかけても緩まない。
F1フェラーリチームが使っている工具屋推奨のインパクトを使っても外れない。

どんだけトルクが掛かっているんだ? ダイヤル式東日製トルクレンチで計測
(写真は左手でカメラを持っているため1200kgf・cmちょいしか出ていないが)
両手と全体重をかけて表示されたのが1500kgf・cm。 どんあ奴が組んだんだ?
車体を組んだ後、力いっぱい締めたのだろう。 とにかく外れないのでお客さまに
相談。 O/H時は横で見ていたが、車体を組んでから締め付けたわけでないとの
ことだった。 サービスマニュアルは見ていない。力はある人だった。 交換して間
もないため、極力使える部品は使って欲しいというように理解していたが、1年程度
は経過しているし、峠も攻めているとのことだった。 キャップを切り落としてもO/H
して欲しいという要望だったが、鉄粉が入ると厄介なので1インチのスピナーで瞬間
でなく、長時間体重をかけて緩むかどうかを試した。 結果:30分程度たっただろうか。
「ギュッ」と言ったと同時に緩み始めた。 継続は力なり・・・腕・肩が痛い。
正しい工具の使い方をしてこんなに歪んではダメだ。 外れたことをお客さまに
報告したところそれでも使えるなら使って欲しいとのこと。 (う〜ん。)って心の中で
思うも、ねじ山さえ潰れていなければ、問題ないと判断し了解した。
・6000km前にメタルやシールを交換しましたので、使えれば使って下さい。(オイルシールは×でしょうが)

サービスマニュアルは過去の失敗データなども反映されて記載されているため、サービスマニュアルで
O/H時は交換すると書かれている物は、過去の実績や経験などからの蓄積データなど根拠が無い限り
安易な判断で変えるべきでない。 距離の問題でない。 さらに見ての通りメタルは擦れてピカピカだ。
縦線も出ている。 使う気にもならないだろう。  オイルシールを交換しないなど問題外だ。
オイルシールは常に車重に押される油圧に耐えている。 フォークがスライドする度に潤滑を測るが、
メタルの磨耗に伴うスラッジを擦り付けられ傷も付く。 フォークO/H時は力で引き抜く訳だから歪みも
でる。 交換しないなんてありえないのだ。 こんなところで小銭を節約してもインナーチューブやアウター
チューブが余計に傷つく。 何でもかんでもお客さまの言うことを聞く店もあるだろうが、その場だけ取り
繕う整備はやめたい。 お客さまに説明し取り替えることとした。 その代わりダストシールやCリング、
ワッシャーなど使える物は清掃して使う。

オイルが漏れていた左側のオイルだが、スラッジできらきら光る。 元は赤いオイルだろう。茶褐色・・・やはり黒といった表現が合うだろう色だ。 交換後1年の色ではないね。 整備が悪いんだろう。 
イニシャル固定も左右異なっていた。 (基準は14±5mmだ)
- プリロード固定位置(mm) スプリング自由長(mm)
L 13.6 381
R 13.9 382
高々0.3mmでしょ? って思うかもしれないが差は出るんだ。
オイル漏れがない右側もスラッジがひどい。
インナーチューブの曲がりの測定(mm)
- アクスル側 真ん中 トップ
0.01 0.02 0.03
0.01 0.02 0.01
フォークの曲がりは無く、錆も出ていない、ただ、縦傷だけはペーパーで支障がでないくらいに横向きに磨いた。
それ以降は、トラブル無く組むことが出来た。 峠を攻めるということだったのでプリロード固定位置は左右ともに14.5mmとした。
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