キックスターターを取り付けるには  
SOHC最終型のジェベルは以前キックスターターKITがオプション販売されていたとSBSで聞いた。 現在はセットの品番はないがDRのパーツリストから個別に注文すれば付くことが判った。
新2号エンジンは軽量でパワーを上げることを考えていたのでキック化(セルを外して軽量化する)することにデメリットばかり見ていた。
  • Gooseのクランクケースならモーターを外してそこを封印しなければならない。
  • セルなしのDR250SのクランクケースにGooseのクランクを組み込むとコストがかかる。
  • 現状の電装系ではバッテリーが不可欠。(安定した電源が欲しい)
  • 圧縮が上がっている分、デコンプが欲しくなりヘッドもDRのヘッドを参考に加工が必要。
しかし、軽量を目的としていない予備の10号エンジンができたため改めて、キックを考えてみた。
  • 今の電装系(セルモーター・バッテリーも含む)をそのままにして、キックスターター併せ持つタイプにすればよい。(何もどちらかの始動方式にする必要はないだろう。)
  • 新2号とは別の可能性を追求できるエンジンが欲しい。
  • DR系のエンジン知識が増えることでさらに深く追求できるかもしれない。
  • キック式に興味を持つGooseオーナーは多い。
メリット性はそこそこあるではないか。 ジェベル250(SEPモデル:太字)エンジンパーツを流用し足りないパーツを組み合わせる方法で検討する。 ジェベルのエンジンはオーバーホール済みでパーツリストも注文した。 調査にはさほど時間は要さないであろう。

クラッチハウジングなども変える必要がある。

初期型DR250エンジンを開けてキックスターターの道が大分見えてきた。 以下を見てみよう

さて、ここまでくればだいたい判りましたね。 さて上の写真の右下のパーツ他SEPモデルの追加パーツははというと
品名 品番 修正番号 個数 H16.9税抜き価格 備考
シャフト,キックスターター 26211-14D02 26211-14D03 1 3500
ガイド,キックスタータースプリング 26221-22A00 1 390
スプリング 09448-50001 310
スターター,キック 26231-14D20 26231-14D21 1 1400
スプリング 09440-32002 1 110
スラストワッシャー 08211-17261 08211-17267 1 120
ガイド,キックスターター 26232-14500 1 160
ストッパ,キックスターター 26233-14500 1 130
ボルト6×12 09106-06071 2 120 ボルトショップで安く販売してます23円/本
オイルシール 09283-20044 1 290
ギア,キックスタータードライブ 26240-14D20 1 3650
スラストワッシャー 08211-22281 1 120
スラストワッシャー 08211-22361 1 120
サークリップ 09380-22006 1 240
ギア,キックスターターアイドルNT:27 26261-14D10 1
ブッシュ,キックスターターアイドルギア 26262-14D00 1 330 SEPにも付いています。ただ、ものが違うため購入が必要
スペーサ,17×25×10.5 09180-17004 1 SJ44A SL系エンジン所持の方はGooseにキックを組むとき長さが違います。(6.5*12*21)
リティーナ,キックアイドルギア 26264-14D00 1 SEPにも付いています
赤のはドライブシャフトが突き出ている部分。 やはりクランクは割らねば付けられない。
DR250Sのキックスターター図面がありました。 パーツカタログを参照ください。kickkit.jpg消去
以前、SEPモデルにはキックスターターキットがあったとお知らせしましたが、販売していたお店がわかりました。 オートリメッサです。
 H16.9.25で確認したところ、廃盤となっている模様。 あればだいたい2万円前後。 運がよければ在庫があるかも。しかし、セット内容は不明。

左からDR250S・Goose250・Goose350・Goose350スペシャル
エディションの順で並べたGooseは共通パーツを使用している。
シックスEドリブンとファースト@ドリブンをGooseの物を使用
すればいい話だ。 そこで気になるのがクランクケース。
 交換して入るかだ。
- Goose250 Goose350 DR250SEP
クランクケース品番 11301-15812 11301-15814 11301-14882
品番が違うため、クランクケースが流用できないとは言い
切れない。Goose250と350は使い回しできるからだ。
エンジンNo.の違いだけかもしれない。

※:パーツリスト記載の通り左に品名を表記した
のですが、5th・6thドリブン/ドライブの表示が違う
ことがわかりました。
ドライブシャフト
長さが違う。 これは交換しなければ無理なため、クランクを一度分解し取り替える必要がある。
品番(NT:歯数)
- DR250S SL系
DR250S SEP系
Goose250 Goose350
品番 歯数 品番 歯数 品番・歯数
ドライブシャフト 24130-14D13 - 24130-47D01 - 同左
キックスターターアイドルNT:27 26261-14D10 27 - - -
ファースト@ドリブン 24311-14D00 29 24311-15D00 30 同左
シックスEドリブン
(※実際は5th)
24361-15D00
24361-14D00
17
19
24361-14D01 19 同左
フォースCドリブン 24341-15D00
24341-14D00
21
20
24341-14D00同左 20 同左
サードBドリブン 24331-15D00
24331-14D01
23
24
24331-14D01同左 24 同左
フィフスDドリブン
(※実際は6th)
24531-15D00
24531-14D00
19
20
24531-14D00同左 20 同左
セカンドAドリブン 24320-14D00 26 24320-14D00同左 26 同左
DRのドライブシャフトにGooseのミッションを組み替えるだけでOKです。

左からDR250S・Goose250・Goose350・Goose350スペシャル
エディションの順で並べたGooseは共通パーツを使用している。
カウンターシャフト
違いがないようだ。 後日品番を比較してみる。
品番(NT:歯数)
- DR250S SL系
DR250S SEP系
Goose250 Goose350
カウンターシャフト 24120-14D01
NT12:2412-14D03
NT12:2412-14D03同左 同左
セカンドAドライブ NT15:24221-14D00 NT15:24221-14D00同左 同左
フィフスDドライブ
(※実際は6th)
NT23:24251-15D00
NT21:24251-14D00
NT21:24251-14D00同左 同左
サードB/フォースCドライブ NT18/21:24231-15D01
NT18/18:24231-14D00
NT18/18:24231-14D00同左 同左
シックスEドライブ
(※実際は5th)
NT24:24260-15D00
NT?:24261-15D02
NT23:24261-14D02
NT23:24261-14D02同左 同左
SEP系はGooseと変わらないため問題なし。
 もうすでに取り付けている方がDRのミッションギアをそのまま流用していて、乗りにくことは判っています。 しかし、以上のことから言える事はシックスEドリブンとファースト@ドリブンはGooseのものを使用し組めばGooseのギア比で乗れるではないかということです。「検討要」は目的によって考えればよいということであえて表示を残しておきます。
クランク内のスクリューを一層すべき!
クランク内の皿ねじは大変硬い。 工具が良くないとすぐになめてしまうだろう。 私も神経を使うところであり、六角穴付に変えようと考えている。

お客さまの依頼があり、作ることとなったエンジンを紹介します
とりあえず腰下は開けないとドライブシャフトが組めないのでクランクケースも分割する。 今回はDR250SEPのミッションのファースト@ドリブンを交換した物を組んでみた。
サービスマニュアルの手順的にも間違いは見当たらないが画像が白黒なのでわかりにくい。 左の写真を参考にしてください。
Goose350クランクケースにDR系キックスターターを組む。
上の写真でDR250SLモデルの付いた物と同じように固定穴もねじ穴もタップも作ってある。 ボルトオンで付くといっていい。 改造はいらない。

DRのキックをはめて回す。 OK
カムチェーンを取り付ける
この車体にはDR250SEPのクラッチハブとフライマリーギアをセットした。 SLタイプは10号エンジンに組む予定
ハブはワッシャーなどを忘れると他の箇所と干渉し回転できないくらいぎりぎりの設計となる。組んだ後、回転させて確認する。
クラッチ板はGooseのものを使う。
ラック&ピニオン機構はラック(クラッチのセンターから飛び出した棒)の向きに注意する。 カバー側のピニオンギアの向きにあわせセットする。 この場合ラックの歯の面は左となる。
カバーをつけてクラッチとキックが動くことを確認
マグネット側は変更なし。 キックとセルがどちらも使える状態にしておく。
キックは組み込み完了。 プラグを抜いた状態でピストンの動きを確認。 取り付け事体は良い感じです。 問題はここからなんですけどね。 STDのステップではキックペダルの妨げになり、蹴れないことが用意にわかるからです。 ペダルの位置を変えるのもひとつの方法ですし、フットレストごと作ってしまうというのもありますね。 RGV500やDRのキックと同形状の都合が良い他のペダルを探すのも大変ですね。 しかし、ここまで派手だとミーティングであった時に誰のエンジンだったかバレバレですね。 250エンジンをレンタル中なのでエンジンの積み替えまでは私がやる予定です。
エンジンを組んでキックが実際どの位置に来るか確認してみた。
予想はしていたがノーマルステップでは干渉する箇所がありエンジンはかけることができないことがわかった。
フットレストごと移動しなければならないだろう。
ミス発覚!
ニュートラルに入らないことが判った。 これはOHしてみないと定かなことはいえないが変則的に組んだミッションのギアが上手くかみ合わずドラムが回転できないようだ(ニュートラルスイッチカバーを外しニュートラルに位置まで回らないことを確認。 クランクケースを組むときは動いていたはずだが、カバーを填めた後の検証ができていなかった。) ひょっとしたら350ミッションをそのまま組んだほうが良かったのではないかと考え、現在はエンジンを下ろしておいた(兵庫県へ1台修理車を取りに行くため、作業中断。クランクOHが必要と思われる。 
オーナからの報告
キックペダルをお店に作ってもらい(RG400γとDR250Sの組み合わせ+αとここではしておきます)、STDブレーキペダルに干渉せず蹴れるようにセットされています。 ステップのスプリングを外し固めに締めこむことによりステップをたためるように改良しています。 付きましたね。 始動確認もさせてもらいましたやはり重い。 453ccは止めておいたほうが良いかな?
Gooseのドライブシャフトのに付いているギアをすべてDRのドライブシャフトに移植したところミッションは正常に動くようになった。
エンジン試験機作成
今回、エンジンを積んでから問題に気が付いた点がまずかったと反省し、エンジンが車体から降りた状態で始動テストができる装置を作ることとした。
基本的にノーマルのエンジン修理を想定するためSTDメインハーネスを使うこととし、不要な結線は外した。 そうすることでSTDのCDIやレギュレターのテストもこのキットで組み立て保管エンジンでテストできる。 組み立て保管エンジンも定期的に車体に積む必要がなくなり一石二鳥だ。
始動テスト時は結線ミスがあるかもしれないので整理できていない結線だがエンジン台の下のスペースに整理する予定。 エンジン固定はステンレスのLアングルとSTDトルクロッドの組み合わせで固定アームを作った。 エンジン始動しても大きく暴れる事もなく成功。ガソリンタンクはぶら下げられる物がやはり欲しい。
GooseミッションでもSEPモデルのプライマリーギアを組んだ分トルク型に
今回Gooseにキックを組むのは私も初めてでした。 どんな状態になるのか若干期待してこのエンジンを積んだオーナーの車体に試乗しました。 新2号に乗っているせいもあり、350より若干トルク感が増しても冷静に「乗りやすいね」と感じる程度だった。 理論的にどうなるという固定観念があったからかSTDの350より発進時のトルク感は増した気がする。 クランクケースからばらし、ポートもバルブも磨いて組みなおしてあるのでいろんな所の効果も出ていてもおかしくないため、たとえ本当にトルクアップしていてもSEPのプライマリードリブンの効果だとは一概にいえないところだ。 DRのエンジンをそのままGooseに積むよりもクランクを割って組み直す方が乗りやすい車体になることは間違いないようだ。 今後はオーナーのHPでキックが蹴れるよう改善されることだろう。 私が書くとプレッシャーになるかもしれないのでこの辺で終了させていただきます。

DR350クランクケースをお持ちの方からの情報
Q1:パーツリストが手に入らなく自らクランクケースを開けてしまいました。 開けた結果をとりあえず報告します。 ギヤの欠けは見当たりませんでした。 何の歯かもいまだに不明です。 あとは点火タイミングが高速、低速と別れていません。

A1:初期のタイプはDR350もDR250Sもピックアップコイルが1つです。 古いエンジンですね。

DR350歯数調査
歯数【枚】 1ST 2ND 3RD 4TH 5TH 6TH
ドライブシャフト 30 26 24 20 19 20
カウンターシャフト - 15 18 18 23 21
Q2:グースとDR350は5TH,6THが歯数が違うみたいです。
最初は順番間違ったかと思ったのですが確認するとそうでもないみたいです。
ドライブシャフトの順番は1、5,4,3,6,2ですよね? 間違ってたらごめんなさい。

A2ドライブシャフトの順番は1、5,4,3,6,2です。 それで気が付いたのですが、
どうも
パーツリストの品名の表記ミスです。 
mission01.jpg消去
サービスマニュアルを参照ください。
@:2ndドリブン F:2ndドライブ
A:6thドリブン G:6thドライブ
B:3rdドリブン H:3rd,4thドライブ
C:4thドリブン I5thドライブ
D:5thドリブン J:プライマリードリブン
E:1stドリブン -

Q3
ドライブシャフトとカウンターシャフトの件ですがグースのサービスマニュアルをみて分解したので5−31ページだけ見て言ってしまったのです。5,6が逆というのが気になっていたので見ていたら5−30ページと5−31ページとじゃ5TH,6THのドライブ、カウンターギヤーの順番が逆に掲載されているような・・・。5−30だと1,6,4,3,5,2で5−31だと1,5,4,3,6,2みたいです。どちらが正しいのでしょうか?もし5−30ページが正しければ申し訳ありません。ガセネタです。グース350とDR350のミッションはかわらないことになります。

A3Q2に書いた通りです。 なお消してしまったmission01.jpgはGoose250サービスマニュアル2-6(350も同じ)の図面でした参考にしてください。

Q4:とりあえず歯の欠けは無いみたいなのでこのままある程度測定して掃除して組もうかと思っています。
ローターマウントの違いはまだ外していないのでわかりません。
点火タイミングですがKamoさんのページを参考にさせて頂きますとローターの14D30 が唯一共通しているみたいなのですが、Kamoさんが以前350が4回マイナーチェンジしているとおっしゃっていたのですが、そのまま変えたところでどこがマイナーチェンジしているかわからないためそのまま流用したところで合っているとは限りません。 グースのを付けると言ってもまだマウントがどうなのかわかっていませんのでキープ状態です。 あくまで予想ですがクランクケースの刻印が92年ということは初期の物だと思います。多分14D00だと思います。 点火タイミングがどれが良いのかわかりません。何か良い手は無いのでしょうか?

A4:DR350の腰下だからクランクケースも違うから簡単にGooseのフライホイルは取り付けられないですよね。 クランクケースとステーターはお持ちのDR250Sを使って、Goose350のフライホイルとマグネットカバー・CDIを使ってはどうですか?

あれから・・・
3年後、鉄粉がやけに出ると聞きチェックするためPITに入ったキック付きGooseだった
お客さまがオイル交換でフラッシングしたあと、再度、数km走って抜いたオイル、1日置いて撮影したが、底に鉄粉らしき物が確かに溜まった。 磁石を付けたところ動く感じはしない。 アルミだろうか?
走行はやめた方が良いと判断し、回転部の磨耗(鉄粉らしき物の細かさから砕けた様子が無いので)と判断し、クラッチ、マグネットカバーをはずした。 クラッチ側は問題はないように見える。 クラッチ板は計測予定。 マグネットは何かペースト状の物が張り付いている。 中の磁石のプレート毎に蓄積されている感じだ。 これが原因だろうか?
ペースト状のものを取り除くと多少擦り傷はあろようだ。
ヘッドカバーを外し、カムロッカーアームなどの回転部も確認。 ロッカーアーム縦溝ができている。 カムの軸受けも線が入っているのが確認できた。
カーボンの溜まり方も均等でない。 セッティングが薄い? 気流も悪いのかな。 排気側が熱が高いのは判るしバルブが回転しているのはわかるけど、、吸気側にもだいぶ吹き返しがあったようだ(カーボン具合) バルブ鏡面してあったはず。
カーボンも中央に溜まり全面堆積している訳でない、バルブ近辺が多く堆積している。
裏まで焦げがでている。 まぁ、多少は普通に出るのだが…
ピストンピンもだいぶ線が出ている。 焼けてなきゃこんなに出ない
驚いたのが排気側のチェーンガイドが破断していたことだ。 折れた後も位置を維持していたため大きな音は出なかったが、下のものと比べると凸部が削られ中の鉄のブレードが見える部分もある。
クランクを見る限り、焼き付きが見受けられる。 サーモンピンクだ。
キャブはFCRφ39だ。 プラグを見た限りでは碍子が白い訳でないし、ねじ表面のカーボンの具合も悪くも見えなかった。 オーナーのポート研磨の問題はそんなに無いだろう(47の刻印も継ぎ目の線も残っている。 鏡面まで持っていっていない感じ、渦流が巻くところはカーボンがたまりザラ付いている。

DR250Sで何度もキック始動していると靴はこんな感じになるけど・・・・ブーツ履いてGoose乗る?
コンバースの右内側のみ先に痛むのはキックスタートのせい。 限界が来ると知らず知らずのうちに破れていることも。 DRの場合真下に蹴ることができるがGooseの場合難しい。考える必要はあるよね。

関連リンク ドライブチェーン(チェーン
ベアリングの交換と選択検討
関連故障事例 ミッションオイル漏れ
フィルターくず燃焼の疑いのあるエンジンのOH
inserted by FC2 system