ショップで組み立てられた10号エンジンOH


 新2号エンジンを降ろしている間、積んでおくエンジンをH14.8に大阪で見つけた。 ショップ(スペックはコスワース453ccピストンキットにメガサイクルレーシングカム クランク芯出し ポート バルブ加工済み 作業は神戸のK社だと聞く。)でチューニングが何処までされているか、オーナーからも情報は聞き出せなかった。 かも号に積むにも今のままでは問題があるので整備しながら、メモしていくこととする。

 外装はお世辞にも良い状態とはいえない。 
左右のカバーには転倒による傷があちこちに確認できて、例えるならそばかすのような感じとなっている。 マグネットカバー下側は削れ方がひどく、漏油が発見されているが、以前から漏れていたのに修復しなかったことが広がった汚れから想像できる。
 オイルクーラーのフィッティングのボルトの受け側のねじ山が痛んでいる。 この辺のトルク管理は出来ていないようだ。(これはショップで付けたオイルクーラーではないだろう。)
後から判ったのだが、クラッチカバーあたりにも漏油があるようだ。

 OHせずとも判る中の状態は良くもないが悪くもない。
 アフターバーンを起こしていたセッティングだがプラグとしては中速までのセッティングに不調な様子はない。 しかし、PJを濃くすればアフターバーンの対策は取れるだろう。MJ215で碍子が真っ白というのがいやな感じだ。
 吸気ポートは軽く磨かれている。(ガソリンのはり付きを抑えるため鏡面まではしていないのかもしれない。) 排気ポートはススがたまっているがこちらも面が平らなことから磨かれていることが判る。 排気側だけが鏡面化されていれば、メリハリのあるセッティングなんだろうと感じたのだがそういう訳でもないようだ。 いい風に言えば、STDの吸気・排気ポート形状を崩さずさない物だといえるが、バルブも外さずペーパーで指が入る範囲を軽く磨いた程度だ。 ”ポート加工済み”というのはこの程度かとガッカリする結末だ。
 オーナーは”結構回していた”と言っていたが、抜いたミッションオイルから鉄粉は少なかった。 色は透明度がないほど汚れていたが、粘性のある。

 マグネットカバーは新2号エンジン制作時に軽く磨いたカバーに取り替えた。
 チェーン調整が出来ていなかったのかオイルシールカバーが凹んでいる。 チェーンが脱落し、ドライブスプロケットのエンジン側に脱落したんだろう。 走行中だろうか? 転倒時だろうか?どちらにしても危険だ。 中のシールの状態も確認し、カバーの交換をする予定。
 交換完了! 中のシールには影響が無かった。
 こちらもオイル漏れ、シリンダー周りはないようだ。 予想通りブリーザーパイプが原因。熱で開きバンドで締めている意味がなされていない。 手で簡単にホースが回ること自体問題だ。 しっかり固定したい。 ホースもこのホースは耐熱でも耐油でもなく、熱で硬く酸化変形するためココに使うことは向いていない。
 市販でよくブリーザーキットとして販売されているものでもこのホースが使われているものが多いが、Gooseのように特有の油冷方式でエンジン内が高温高圧となるものは吹き上がりも熱も他車に比べ高くまったく向かないのだ。 
 やっと期待していたものが見つかった。 フライホイルが鏡面になっている。 削り落とすといっても磨いた程度で1mm程度落としたぐらいだ。  側面にバリが出ているため、そこを落としてやる事とする。 外そうと思ったがインパクトでも緩まない。 むちゃくちゃなトルク管理だ。 本当にこれがショップが作ったエンジンなのか? 名誉毀損で訴えられかねない。 会社名は隠すこととする。
ステーターはノーマル。 テスターチェックも良好だった。
 不信感を持ってみると他の違いにも気が付いた。 左が純正・右がK社加工と思われるフライホイール。 スタータークラッチとフライホイルを固定するボルトが増えてる・・・。 レスポンスを上げるために軽量加工したのなら、STD3本(サービスマニュアルも3本)固定から6本固定にするのはどうなんだろう? 合成を上げたとは考えにくい箇所のため、削った後に無くしたと勘違いして違うボルトを差し込んだ可能性もある。 調べたいため、STDのものに付け替えることとした。 SBSで話をしたら、「レース用に剛性を上げたとしか考えられないね。 間違えてつけたと言う事はないでしょ? 詳しいことはショップに聞かないと判らないね。」とやはりはっきりしない。 インターネットで調べたら電話番号だけは判った。 近いうちに確認しよう。 
 シリンダーヘッドカバーを外したのだが、ひどいものだ。 トルク管理がまずあっていない。 ボルトは1本無くしたのだろう、長さの違うものがささっている。 特にシリンダーヘッドのボルトは強力ボルトを使っているので位置も間違えて欲しくないのだがとてもいい加減だ。   メガサイクルのカムと以前のオーナーに聞いたが、組む前に落としたと疑われる傷が見える。 焼付いたカムでもこのような角にぶつけた傷はつかない。  ロッカーアームの消耗はさほど気にならないものの、ぶつけた傷のある面が接触する部分に傷を残している。 これがプロショップの仕事なら頼みたくない。 前のオーナーが自分で交換したのではないかと思いたい。(出来れば以前のオーナにご自身でエンジンを開けたことがあるか聞いてみたい。) SBS店長にみてもらうこととなった。
 バルブスプリングはSTDであった。 バルブ加工済みと聞くが、バルブガイドを切っているわけでもなく、磨いた程度のものを言うのだろう(オーナーからサイズは変えていないと聞く) あまり期待は出来ないため、シリンダOHはしないこととする。(圧縮はあるし、オイル量やプラグの状態・事前走行テストからシリンダーは問題は8割ないと判断した。 この辺になると交換パーツもバカにならないので。) 
吸気バルブ側
排気バルブ側
 この傷が鋳造時にできた「す」というものなのか判別はできるというSBSの店長にみてもらったが、「判断しにくいね・・・。 焼き付いて表面が剥がれたものではないことは間違いない」とのことだった。  長年の経験で「す」なら海外製品を組み込む時に何度か見たことがあるという。 「す」かそうでないかの判断はつくといった店長が判らないと言うんだから、どうにもわからない。

 吸気ポートはこんな感じだ。  オートメカニックを読んで再確認したのだが(、”プロの仕事は必要最小限の加工や改造で最大の性能アップを図らねばならない”とある。) たしかに短時間でより性能を上げるために鏡面までする必要がないのだろう。 吸気ポートの鏡面化は私もガソリンが張り付くので、しない方が良いと一部のマニアから聞いたことがある。 10号エンジンはリューターで表面を一皮削り落としただけである。 効果は流速アップを期待したものであろう。 ポート形状を変えるというものではない。 バルブガイドを削っているがこれはあまり大したことはない。 抵抗となる分、削り落とすケースがあるかここで見られるのはそういう考えでなく、壁面を削る際に当たってしまった。 そういう感じだ。
 写真では上手く写せなかったが排気ポートはこんな状態。キャブセッティングはあれで濃すぎではないことが伺える。 かも号でテストしたのだがスローを若干濃くすることで立ち上がり加速がUPし、アフターバーンは消すことが出来たが排気ポートはススが多く付き、オイルもガソリンの臭いがする。 スロットルを戻した時のアフターバーンは止む終えないのかもしれない。

クラッチプレート
(mm,g) ディスクプレート スプリング
ドライブ ドリブン 自由長 圧縮長 重さ
厚み 重さ 厚み 重さ
管理値(限度) 2.42 - - - 29.45 - -
バーネット 2.75 25 - - 31.0 17.3 10
新2号ノーマル 2.8 34 1.5 61 30.6 17.65 10
2号ノーマル 2.8 34 1.35 52 30.75 17.65 10
10号 2.82 33 1.35 52 30.5 17.65 10
少し期待していたが期待はずれ、クラッチはノーマルでした。 ただ、スプリングはへたっているものの社外品(ゴールド)だった

 新2号エンジンを降ろして、かも号に10号を載せました。
 10号に付いていたブリーザータンクを加工しシリンダーヘッド上部に設置しました。(ホースレイアウトは変更しました。

さて試乗。 やはり、強烈な炸裂音(アフターバーン)です。 笑うしかないです。 ヤン車と…それ以上の音ですね(痛) 徐々にキャブセッティングも見直しましょう(笑) 多分、大阪の時よりトルクが出ているでしょう。 同じクラッチプレートとスプリングで加速の時すべりがある。 
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