悪質な中古屋で購入すると




こんな落とし穴が・・・・

 オーナーは中古車を購入し、整備なしの現状渡しで1万4千Km程度の
グース250を購入した。 タペット音が気になるものの一気に吹き上がる
グースを楽しんだ。  しかし、動かなくなってしまった。 
訂正:昨年6月に愛知県内のバイクショップで16万円(格安)で売られ
    ていました。     しかし、現状渡しではなく、整備料を払い
    
諸経費を込んで20万円超でした。


受け渡し時の状態からの分析
  • フロントフォークのインナーチューブが錆びている。
  • フロントフォークの漏油が確認できる。 (正立にしては多め)
  • 所々、こんなところが錆びたっけ?というようにクロムボルトが錆びている
  • チェーンカバーに黄色いシミ(チェーンオイルとはまるで違う)
  • オーナーから「車体の状態ですが、キャブレターはOH済み。
    プラグも新品(イリジウムを奮発しました)が入っています。
    オイルも入れてはみたのですが・・・・
    その他、メインキーもなんとか修理して一通り走れる状態ではあります。
    足周りはたぶんフラフラだと思います。」とも不動以前に確認済み。
  • オーナーから「いたずらされて暫く放置してあったグース250ですが、
    復活させようと、とりあえずエンジンをかけて試運転を行ったところ、
    オイルも抜かれていたらしく、白煙を上げてブローさせてしまいました。
    キーの交換どころではなくなって途方にくれていましたが?」と聞く。
  • 修理されたキーは少し入りづらい様子
  • タンク内が錆びていると聞く
  • エンジンカバーに傷はないがリアのアクスルが削れている転倒後、何らかしている。

私は長期停止によるオイル上りでそのままエンジン
をかけたため、焼き付いたのとばかり思っていました。

オーバーホール時、30分間の発見と故障解析
 白煙はミッションオイルが燃えたのだろう。 明らかにオイルの量が少ない。 オーナーが言っていたが「お店の人がオイルを入れてなかったかもしれないと言っていた。」というが、そうではないだろう。 長期停止のため、ピストンリングとシリンダー壁の油膜が落ち、いきなりのレーシングでシリンダーを焼きつかせたに違いない。

1リットルのペットボトルに移すとこの量の少なさがシリンダー内の様子が伺える。 きっと、 油膜がべったりで、縦溝が大きく入っているだろう。
 プラグ周りにオイルのシミがある? プラグを緩めると1kg/cuも締まってない・・・

プラグはというと新品といわれるイリジュームが見事にオイルかぶり。 洗浄による復活を期待したい。 エンジンがかかるまでは私のNGKイリジューム(4号機に使ったそのまま)を使おう。

しかし、これなら、バルブまでは破損していない。 シリンダーの磨きなおしとオーバーサイズピストンとリングの交換・ヘッド内のクリーニングでうまくいけば走る事は可能だろう。 
 タンクを外した時に気になったことがある。 ホースを外した時、ガソリンが黄色い? 赤や青でなく・・・。 OHしたはずのキャブを開けるとガソリンが腐っている。タンク内が錆びているからこんな色というのはまずない。

フロートに至っては、こんな色に・・・(STDは淡い肌色だったが、ガソリンが腐ってキャブがだめになる典型的カラーだったりします。 常に新しいガソリンが供給できている車両に見られないカラーです)

お客さまに引き渡してからもこんなメールが
「キャブ下部のドレンコック下からも車体を揺らすと滴が落ちることがあるので増し締めしたのですが止まりません。 この症状は正常な状態なのでしょうか?」

という問いかけがありました。 タンクの中央に出た筒がオーバーフローパイプです。 問題はこう考えられます。
  • ガソリンタンクの錆
  • ニードルバルブのゴム劣化
  • フロートの漏気
オーナー自身で修理してみたいと言って見えますのでお任せしました。
 マフラーを外すまでに気が付いたのはほとんどトルク管理以下で締められており、排気漏れはするはず。 いつパーツが落ちるか判らない状態。 液体ガスケットが塗られた形跡がなく、引っ張っただけでサイレンサー部と分離・・・ 中はというと黒い艶がある。 見事にオイルかすが付着していて、運が悪いと長期に渡って白煙を吐き続け、挙句、火が付く恐れがある。(経験談! 事情は違うが、砂を食べてオイル上がりした時に、サイレンサーのグラスウールを変えなかったせいで白煙と異臭を放った)

逃げたくなった(笑) 開始30分でこれだ。  オーナーが誰かわからないようにし、
続けてリサーチします。  今回ばかりは、工賃5000円くらい取るかな? エンジン
積み替えだけでは、まず済まない。 ケミカル使いまくり(泣)  修理です。
 

正午〜15時の間に積替え完了。 その一部を紹介します。
バッテリーはやはり「要充電」でした。
2時間ほどで充電完了に
 エンジンを降ろすには車体を垂直に保ちたい。
そのため、レーシングスタンド用のボルト穴の錆を
落とすためにもタップを回す。

 意外にも錆がひどく、CRCで洗浄しながら山を作り
どうにかスタンドでたった。
 イグナイター等のカプラーを外した時、今まで見たことがないフレーム傷・へこみが・・・フレーム修正されているかもしれない。

 十数台のグースのOHをしてきたが、フレームが四角くなっている(楕円に近い)ことはなかった。 何かあったようだ。
 ステップのシャフトは新品に近い。 純正ではグリスを塗らないため錆びるところだ。(購入したら、一度外して、モリブデンなどを塗布しておくと良い)

 対照的に上のシャフトを見るとその差がわかる。 エンジンは一度も降ろされていない。(これだけいい加減なトルク管理なのにエンジン周りは鬼のように固い。)  超ロングスピナなしでは外せなかった。 
 錆も酷いがエンジン後部の茶褐色は何だろう? 降ろすことはまずできた。
 今回積まれる4号エンジン。 昨年の全国ミに使用した、大変良いエンジンだ。 250にはないシリンダーとオイルタンクのバイパス付きである。

錆びたボルトはペーパーがけし、グリスを塗布する。
エンジンをジャッキアップし、ボルトをすべて差し込む。
フロントのボルトは先にトルク値まで閉めておく。(マフラーなどで後では閉められなくなる。)
 今回はオイルクーラーと油温計をつけない。STDのオイルホースをつなぐため、ガスケットは新品に交換(取り付け時にはミッションオイルを塗っておきましょう。)
 新品のガスケットに液ガスを塗り、 はめ込む。
液パイ側のつなぎ目も液ガスで排ガスの漏れを防ぐ。
 やっと形になってきたがまだ、トルク管理ができていない。
しかし、日差しが強くさすがにふらふら、ここらで一服。
まとめていたら、16時30分。 そろそろ続きを・・・
 各部、規定トルク値にあわせ増し締め後、 タンクを取り付けようとガソリンタンクを持ち上げると、置いていたトランポの床が濡れている。 ガソリン漏ってます?(聞いても仕方がないのだが・・・) 臭さから言って、新しいガソリンではなさそう。  新たなトラブル発見! これだけ暑いと車内が危険。 換気! 換気!! タオル〜
 一度落ち着いた物の、お客さまに渡してから再現しました。
結局取り替えです。
こんなメールが
「ガソリン漏れは、タンク〜コック間の燃料ホースに亀裂が走っていた
ためで、ひねりなどを加えると一気に吹き出したので交換しました。」
 油音計を取り付ける位置のプラグは以前付いていたものを拝借したのだが・・・穴?  コケ傷が残る錆びたアクスルにも穴・・・・。 『サーキットレギュレ−ション』から行ったものだろう。 車検を通すための対策ね。  スピードメーターの針は蛍光レッドだがタコメータの針は色あせている。 サーキットならスピードメータは不要だ。 売るためにあちこち直したなぁ。  タイヤは250ccにはじめから付いている型で硬化しているうえに使えていない。(STDでも、寝かして走れるタイヤを履いている)  ホイルバランスを取り直した形跡がない。 (サーキット車両なら、これくらい考えるだろう)  エンジンは降ろしてないがブラケット・クラッチカバー・マグネットカバー・ハンドル・タンクは確実に交換している。 マフラーは社外品をつけていたが転倒によりSTDに戻している(タンデムステップが内側に入りすぎ、サイレンサー部がコーナーリング時にスイングアームに当たる:引っ張り出して修復完了) 250ccのシリンダーはエンジンを降ろさずとも外すことができるが、シリンダーヘッドカバーのガスケットからまさしく一度もピストンを拝んでいないことが判る。 サイドカバーも外してあっただろう(錆のわりにねじ山のつぶれた傷は新しい)。 簡単にいろいろ推理できる。

これはどんな車体?
  • NS-2クラス車だった(それもかなり遅い人)
  • NS-2クラス車だったパーツのあちこちを交換して直した
  • イベントでサーキット走行を楽しむ車体だった。
  • 峠を走っていた子が真似していた(それも違法行為で)。
いずれにせよ。 オイル上がりの原因は、単に長期停止の”油あがり”とは限らなくなった。 あの滑るだろう硬いタイヤに攻め立てた跡もなく、STDのキャブにSTDのエアクリ、砂が入ったなど考えられない。 サーキット走行時にすでに焼きついていた可能性もある。 
 エンジンを最高のものにしても、まだ不満な点が多い。 (フレーム修正をSBSに出せる人ならヨシムラの油温計が付いていて良いだろうが、プラグが刺さっている。  フロントフォークの漏油といい、高速走行時の安定性に難あり)

 さぁー。 一通り、組みあがった。 本日は水曜日。
バイク屋さんの定休日。 オイルが足りない。 手間はかかったがいろんな分析ができた。 今度はエンジンOHだが、塗装の仕事が先デス!! 待たせすぎデス。 怒られてしまいます。 あぁー、背中ひりひりする。 何処にも行っていないのに背中がこんがり焼けました。 
PS:オーナさんよりもうひとつ:
「店で見たときは、タンクに凹みがあること以外は、何も説明がありませんでしたし、タイヤの状態や、外観上の損傷から屋外保管はされていたかもしれないものの、そんなに酷い扱いをされているとは、考えられませんでした。 安いにはそれなりに訳があったんですねえ。」 とメールが届いてます。 それが本心なら、”なんて優しい人なんだろう。” と思いますよ。  私なら.。o○  『整備しました』と言われて、お金も払った状態ならば、「何処にめー付けとんじゃぃわれぃ! やり直し!! ここと、ここと、ここも・・・・・・。」 多分、純正店でも買えませんね。 (笑) 新車で店内展示が条件で、錆でも見つけるものなら、買う前に交換してもらい、レバー、マニュアル類をつけさせる。 だからいつも現状渡し。 SBSでもウイングでも最近行っていないYSPですら、「現状渡しでいいよねぇ〜。 トランポ持って来た?」といわれる始末。 「どうせ形変わるしー」(って、うるさい!)


保管してあったエンジンもオイルを入れてエンジンをかけるだけではありません。
 長期停止後のちょっとしたことでシリンダー内をオイル上りから守ります。 

このメーカーの製品はスプレータイプが手ごろな値段なのでお奨めできる。
<試乗1>

 まず、プラグを外し、EPLスプレーのプッシュをパーツクリーナーなどの長めのノズル(ワコーズ系のノズルとプッシュが外れないものが理想・EPLについているのは短めのノズルをスプレーに装着するタイプでシリンダー内の落ちる可能性がある。その点プッシュが大きいワコーズの物はCプラグの穴に落ちることはない)に取替え、プラグ穴より、シリンダー内へ吹き付ける(連続2s?多いかな・・・目安ってことで)。

 マグネットのプラグを外し、ゆっくり1/4回転クランクシャフトを(時計方向に)回し、軽くEPLスプレーをシリンダー内に吹き付ける。

 さらに1/4回転クランクシャフトをゆっくり回し、軽くEPLスプレーをシリンダー内に吹き付ける。

 プラグを1.25kg/cuで締め、クランクシャフトをゆっくり回し圧縮を確認する。


簡単だったでしょ。  結局、オイルが上がっているとピストンリングとシリンダーの潤滑がなくなり、シリンダーとリングに傷をつける。 それを防ぐためにシリンダー内で使える潤滑剤を用いた訳です。 誰でも出来ることが出来ない店が多くなってきてますね。」
 ミッションオイルをひとまず、規定値あたりまで入れ、マグネットプラグなどを閉じておきます。 プラグケーブルは外した状態でスターター作動を確認。 プラグケーブルを取り付けます。

 ガソリンタンク内のガソリンは少し黄色っぽい赤だが、使えると判断した。 テスター容器に少量移し、キャブ側のホースに取り付ける。
 エンジンスタート! 静かだ・・・やはりノーマルはそんなものか。 アイドリングの安定していて良いのだが・・・
 あれだけ減っていたオイルがエキパイやチャンバー・サイレンサー内に閉じ込められていると考えるとあるメーカーの2ストオイルのような白煙を上げるのも無理もない。  オーナーに相談し、傷があるが在庫の350エキパイマフラー交換をするか確認してもよいと判断している。 当然、エキパイ内オイルが付着し、排気の抜けは悪い。  ある程度走行し白煙は消えるものの、今度は排熱と加速による排圧でカーボンが剥がれ、チャンバー部の目詰まりの原因となる可能性が高い。 今回良く回る良いエンジンを載せたが性能が発揮されているとはいえない。 フロントフォークの錆を、ペーパーで削り、グリスを薄めに塗布し、クラッチやレバー類の調整のため試乗することとした。
<試乗1>
 かも号のポジションが私に丁度いいため、ポジションには違和感があるものの、明らかにエンジンが良い。 パワーバンドをキープしやすく、しっかりエンブレも利く。 立ち上がりも極めてスムーズだ。 さすがにスズキであちこちから探してもらったエンジン(2号車 4号エンジン)は私がてこ入れしなくても調子がいい。

<試乗2>

 <今度は家の前を走るのでなく、少し走ってみる。 走行する前にランプテスト・警笛テスト>
 ターンスイッチがすこし重い、タコメーターのバックランプ点いてるかな?昼間でちょっと判らない。 
走行に問題ないと判断。


 <広い道に出ることに>
 まず、気が付いたのはスピードメーターが動いていないこと。 ハンドルがやたらと重いことだ。 白煙は予想以上に早く収まった。 オーナーから確認したら将来、スパトラに交換するときくので現状維持で良いと判断する。
スピードメーターワイヤー
 まず、スピードメーターのワイヤーが切れていた。 ギアボックスの接続部分で、ギアボックス側のねじ山がつぶれ、接続が不十分であることが判った。 グリスが塗られているところと拭き取られているようなところがあることから干渉していた摩擦により千切れた可能性が高い。 kamoshopから中古のワイヤーをおろし、取替えメーターは動くようになった(低速で、若干ギアの動きが悪いように感じる? 気のせいか?)
ガソリンタンク内
 タンク内を確認すると見える範囲錆びている・・・以前「クリーム」という錆取りを使った時にパンフに書いてあったが、「コックから見えた錆の何十倍、錆が広がっている」とあったが、これは間違いなく全面が錆びている。 早めに錆取りをしたほうが良い。 
 タイヤの空気圧を測定した。 フロント2.43・リア2.3 (kg/cu) 明らかに指定空気圧など考えていない。 さらに、フロントに関して言えば指定空気圧を超えているにもかかわらず舵が重すぎる。 明らかにステムベアリングがつぶれていることが判る。 エンジンが正常な今、これは直さなければ、オーナーが危険だ。 SBSへ注文にいったついでに上下のベアリングも注文した。(09265-25019 テーパローラーベアリング¥1650,09265-30009 ベアリング ¥2000 税抜き)

ウインカー交換
 gooseオーナーなら気が付くだろうか? このウインカーのレンズ。 STDより、丸みを帯びている。 明らかに交換している(公道用に戻す時に余ったパーツを付けたのだろう。 他の3つは、STDなだけにみっともない。 ゴムブッシュには何故かアルミテープ? それもステーを見てお解かりかと思うが固定されていない。 交換したいなぁと思いつつ、オーナーへの負担を最小限に抑えたくて、言わなかったが、オーナーの方から交換依頼をしてくれた。
 いかにもなめそうな錆びたライトのネジを気合で外し、ライトの中で見たものは割れたライトの固定部・・・何とかネジで付いていた・・・といったところか。 締めすぎですね。 たかがウインカー交換に、何故こんなに不満があるのだろう。 バラす前から薄々気が付いていたが、テープを剥がせばウインカーは引っ張り出せる。 テープの粘着力がなくなれば走行中でも、ウインカーがぶら下がる事態なるだろう。 
 ウインカー部とゴムステー
上が当初付いていたウインカー。下のがSTD。 ゴムステーの部分を見ると先端が切れているでしょ。 これは立ちごけではありませんね。 ウインカー部を交換していると考えると納得できるんですよ。 下がリアのウインカーで固定軸の長さが違うでしょ。  他の車体も転倒して、リアのウインカーしかなかったので、ゴムステーは切れたものを使ってテープで巻いていたのでしょう。
 まだ、ばらしていないストックGooseのライトから、ブラスチックのパーツを取り出し、ウインカーと一緒に交換しました。

気が付いたのですが、右のウインカーのハーネス(メインハーネス側)被服が剥いてあります。 何のために剥いたのか判りませんが、テーピングしておきます。

フロントフォークの交換依頼を受けました

オーナー:「yahooオークションを探してみると、
グース250のフロントフォークは2点ありました。

http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c20536041
http://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/48006963

kamo:
何故か、両方ともアウターチューブが黒い??
いかがなものでしょうかね?」

「ヤフオク? 黒・・・350倒立ですね
付きませんよ、三又から変えないと。」

オーナー:「評判の悪いyahooオークションですが、一応新同
だというFフォークを入手しました。明日には手元に届くと思います。
トップブリッジ、三つ又、シャフト込みで2万円でした。
何故かアウターチューブが黒く塗装されていますが、板金屋で
塗ってもらったということなので、まあいいかな〜〜と。
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c20536041」

といったメールのやり取りの後、届いたものを見てがく然・・・
 両ブーツカバーにキャリパー固定部が・・・。見たことがある・・・バンティッド? 近い・・・バンティッド400のパーツリストしかもっていないが、形状はまったくおなじだ。 ステムがgooseのものにとても似ている。 少なくともトップブリッジは同じだが、付くかどうか不安・・・。
 そんな訳でオーナーと相談し、付けばいいと思い、交換作業に入った。  明らかにインナーチューブが長い。 しかし、付けばオイル漏れよりましだ。 背に腹は変えられないといった感じだろうか?
 明らかに錆の浮いたベアリングがOH途中で顔を出した。 予想的中。 3日前にベアリングを注文してあったのだ。 こちらは交換。
 トップブリッジを外すとメインキーの封印が外してあった。 こればかりはレース仕様車に感謝。 以前から付いていた汚いトップブリッジを新品に交換できた。
 心配していた三又だが、STDと同じ・・・。ステムは確かにgoose250用だったんだ! と感心。 使える! これならいい。



ただ、

 梱包時の問題だろう。シールが折れている。グリスが流れやすくはなるが著しく性能が落ち込むことはないと考える。
 15時くらいから始めたものの、気が付けば19時。 仮固定し、ホイルもはまった。

 ホークの突き出しは、予想通りだ。


しかし、またここでトラブル発生。


キャリパーとディスクローターが当たって、キャリパーが固定できない。



戻すしかない。
 戻す時に気が付いたのだが、ホークの突き出し7mmもなかった。 レースに出ているならフロントのキャリパーのボルトにも穴が開いていても良いはず…多分、フロントホークはレースに違うものを使っていたのではないだろうか?

オーナーから
Fブレーキはkamoさんのお察しのとおりです。 店に下見に行ったときはステンメッシュだったのですが、購入した時は、純正でした。 「ステンメッシュは挙動がナーバスで、パニックブレーキのとき危ないからこの方がいいよ」って。
 きっと、WR'sのマフラーとセットで売ってしまったんだろうな。

とのことだった。 コケ傷のない8番ぐらいのオイルが入ったフロントフォークも違うだろう。 しかし、STD戻したブレーキホースのバンジョーボルトの錆には心配りを感じない。 普通錆びる場所ではない。 わざわざ錆びたものを選んだようにさえ思える。
 フロントを戻して、停止時の舵取りは明らかに軽くなっている。しかし、試乗するとコーナーリングで重く感じる。 明日、タイヤを交換予定だが、オーナーに渡すまでに原因を究明し修理しておきたい。

オーナさんの気持ちが痛いほど判り・・・

 距離はあるが親しいバイク屋さんがタイヤチェンジャーを貸してくれるのでTT900GPに前後交換に行った。 (サイズはSTD250と同じもの) 使える人には大変ありがたい機械です。 しかし、コツが判っていないと新品のタイヤビードを裂いてしまうことがあります。(以前、バイトの人が・・・)  自分でタイヤ交換する方は、ビードクリームをホイルのリムと新品タイヤビードに満遍なく薄くぬり、しっかりビードを落としながらターンテーブルを回すのがコツである。 タイヤには回転方向とバルブ位置の目印(黄色い○)があるので注意してはめてください。
 タイヤ交換も終わったので、以前のオーナがやっていたようにワイヤリングしておきましょう。 ちょっとレーシーです。
最終走行テスト
 オーナーに返す日程が決まった。 それに伴い、タイヤ交換後の走行テストをしておくこととした。
 舵取りが楽になり、STDな乗り味に戻った。 私としてはこの柔らかなサスは動きすぎて好きではない(せめてSTD8番のフォークオイルを10S程度に交換したい)が、久しぶりにgoose250に乗った感じがした。 8月10日の受け渡しまでに最終調整をしたい。 他のかたのgooseに乗る機会もありますが、皆さん何処か変更点があるので、比較が難しい。  エンジンを載せ変えて50km以上の走行テストを行ったが、悪い点が複数みつかったり結果としてよかった。 漏油やトルク管理したボルトのゆるみがないことも確認できた。 見つかった不具合についても若干心残りがある(Fフォーク漏油・錆  バーエンドが左右違う マフラーなど固定ボルトがSTDのものと違う )ものの、理解して乗ることが出来る状態にまでなった。  テスト走行途中、FLウインカーが点灯しなくなったが、 こちらは単なる球切れ。 タイミングが悪く切れただけだろう。 交換し直った。

お客さまは無事送りだしました。 本当の仕事はここからです。
それでは、焼きついたエンジンを見てみましょう。
 予想通り、初めてオーバーホールだ、中の状態やガスケットからすぐにわかる。 そんなことより、シリンダーヘッドカバーを開けただけでこのさまは何だ?  焼きついた状態の4サイクルエンジンではロッカーアームのフェイス部が凹んだ状態になる事が多いが、扇形に凹んでいる。 さらに、カムの軸がこけしの首のようにくびれている。 これは焼きついた状態で走り続けたとしか推定できない。  カムを外すと軸受けが酷く削れ、シリンダーヘッドは使えない状態だ。
 GooseはGSX−R750と同じで、オイルポンプで持ち上げられたミッションオイルがシリンダーとシリンダーヘッドを冷却した後、ロッカーアームに降り注ぎ、潤滑するはずだが、カムシャフトの片側は湿り気が少ない。  エンジンがかからなくなった原因はここにある。 しかし、こうなる原因を作ったのはシリンダーの中にあると思われる。
 バルブは破損していないが、明らかにミッションオイルが燃えて付着した煤が蓄積している。  オーナーが「タペットの音が酷かった。」 といっていたが、ロッカーアームがあんな状態なら納得できる。  
 シリンダー内は予想通り、吸気・排気共に縦溝が彫られている。 オイルが上がったため、固着せず、走り続けたが、不規則な動きにカム側は付いていけなかったのだろう。

 以前S8クラスのピストンの焼きついたのを載せたことがあるが、似ている。 砂が入った訳ではない。 長期停止によるオイル上りでもない。 すると、こんなことが推測できる。(SBSの店長と話してきました)

オイル切れ

・オイルが少なかったのにそのまま走った。
・長時間高い回転域で回し続け、シリンダー内の超高温状態にした。
  その他、以上が見られた点。 
  • マグネット側のクランクベアリングが焼きついています。
  • ステーターコイル(パルサーコイル)白−茶の抵抗値1233Ω(基準値:510Ω)
 オートメカニックを読んでいて書くのを忘れていたことに気が付きました。 光の問題ではないのですが、焼付いたクランク(左上)は赤茶でしょ。 もう使えないサインですよ。 正常なのはこげ茶色(左)です。  鏡面に磨いてあったとしても焼き付けば色が変わるそうです。 
原因究明しました。
 オイルポンプストレーナーにティッシュペーパーが詰まっています。(ステーターコイルの裏にティッシュペーパーが詰められていたのを発見したのです。 何てことするんだ! これは完全に整備不良です。 こんなもので良くもまぁ整備工賃をとったものだ。  腹が立って仕方がない。 20万取り返すことも可能だろう。) オイルポンプは回っていても、ミッションオイルは潤滑出来ていなかった。 そのため各部が焼きついた。 つまり、そういうこと。 すべての謎が解けた。 
これが正常な状態です。

kamoairで今回頂いた修理工賃
エンジンに積み替え(シール新品交換) 同情価格 ¥30,000
ハイエースの軽油代(岐阜県往復・バイク屋往復2回) ¥1,028
メーターケーブル ¥500
ミッションオイル 1.7リッター ¥1,680
ステムベアリング(上) ¥2,000
ライトハウジングステー ¥60
バーエンド 2ヶ ¥300
ウインカー本体:1ヶ もう一つの切れた球はサービス ¥200
走行できるようにするための工賃・ケミカル類  (あまりに手がかかるので頂きました)  ¥5,000
TT900GP前後タイヤ代+フルタイヤ処分代(同情:工賃無料) ¥17,955
車載工具 ¥3,000
フロントフォーク交換工賃   無料
故障解析 無料
総額 \61,723

これで、問題が解決したと私は思えません。 このオーナーを応援し続けます。


別の方からのメール
Q1添付ファイルのヘッドに記載しましたが、カラーのようなものを逆に組むと長さが違っているのかヘッドカバーとヘッドに隙間が出来てしまいました。でそのまま走って結構エンジンを酷使してしまいました。 元々悪評高きオークションで中古の3万キロ越えのエンジンを購入してヘッドを開けたら排気側のロッカーアームだけがかなり削れていました。 それが原因か走行距離の関係かカチカチ音はしていました。 オイルがかなり滲んだというより漏れた感じがしてましたので走った翌日ヘッドカバーを組みなおそうと思いばらし、それと同時にロッカーアームも組んでみたとこ替えたほうじゃない、吸気側のロッカーアームのタペットのクリアーが取れないという状態になりました。 ヘッドカバーやクランクシャフトをDR250のもので組んでも一向に緩めてもクリアランスが取れません。 元の状態でクリアランスは見てないのでどうか判りません。 基本はエンジンは弄ってないと思います。 続けて申し訳ないですがオイルフィルターに紙みたいなものがひっかかっていました。最近オイルが凄く煮えて高温になって減るような感じがします。以前kamoさんがティッシュがフィルターに詰まっていたって記事を拝見しましたが、同じような事が考えれるのでしょうか?掃除したフィルターってどの辺にあるのでしょうか? サービスマニュアルには載っていませんでした。 フィルターにこんなものが詰まっているようでしたら全バラしないとダメでしょうか?
A1シリンダーヘッドとカバー間のピンは方向も無ければ2点のサイズも同じです。 位置も写真で見たところ間違いないですしそれ以外の場所には刺さりません。 間違えたとすれば他の部分かピン自体が違うところのパーツかです。 原因はそれではないですね。 カチカチは普通タペット調整が甘い状態なのだと思います。 気が付いた時に調整することをオススメします。
気になるのは1点、マグネット側の窓穴から「T」マークを確認しタペット調整をしましたよね。 その時、オーバラップの状態でした?全閉の状態でした? バルブを押した状態の位置でヘッドカバーを取り付けようとしませんでしたか? 4ストロークは720度で1工程だと知ってますよね。 改めてバイクメンテの「エンジンチューニングを考える」→「バルブタイミングを正確に合わせる」を読んでみましょう。
「判っているよ! そのように合わせた」というのであれば確かに問題ですね。 1度分解した箇所を分解しサービスマニュアルを確認しながら組み立てることです。 絶対どこかにおかしな点が見当たるはずです。 オークションの状態では走れた、エンジンは3万キロOHはしていないとするならですが、OHしたような跡があるとかありましたか?例えばカムギアのボルト止めが何度か曲げなおした形跡があるとか?
ティッシュの事件はメカニックが整備したならありえないことです。 2件も起こりえないと思っています。 ガスケットの切れ端ではないですか?それならば良くあることです。 
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