キャブセッティングミスによる焼付き


2005シングルミーティング(H17.4.10)前にオイルポンプドリブンギアの交換を依頼され、ピットでオーナーを待っていたのだが、エンジンがかからなくなって時間がかかると連絡があった。 1度目はバッテリーがあがったと聞き、2度目はそれが原因ではなかったようだ。 確認した症状は走行中高回転域が回らなくなり、パーシャルで近くのSAまで走ったという。 再始動のため何度もスターターを回したんだろう。 ここまできけば、電装系でないことが事前に気付けたかもしれない。 電話で聞いた内容は走行していてエンジンが止まってしまったという内容でステーターを疑う内容だった。 名古屋14:00出発山陽道龍野西SA18:24着(435.8km)PITに帰って来たのが22:00頃。 そこから調査を開始した。


軽油代:¥4,579−
有料道路料金:¥13,850−
ミツトヨデジパ:¥6,000−
合計¥24,429−(¥25,000−預かり)


<電装系の状態>
・少し前にASウオタニSP-U(CDI+コイル+NGK赤ケーブルのセット)に取り替えている
・ステーター故障し交換後2000km走行
・スターターモーターは回る。 

ちょっとも見にくいですが、灰色の粉が碍子にもねじ表面にもこびりついており、見たことがない感じ。
点火の確認をするとものすごい大きな火花が出た。 SP-Uの効果だろう。 ガソリンも微かにエンジン内に入っているようだ。(プラグが濡れる時もある) 別のエンジンをエンジンテスタに載せ、オーナーのキャブを付けて始動。 エンジン内が怪しいため、マグネットプラグをはずし、ダイレクトにクランクを回すと2回転まわしても圧縮点が判らない。 圧縮が抜けている訳だ。 焼付いたと判れば別のデータが必要と再度尋ねた。
・キャブはTMRファンネルにRAMAIRフィルターを被せた状態で走っていた。
・オイル交換はしたばかり。
エンジンを下ろし、シリンダーまで開けるとピストンは吸気側が溶けた感じで丸くなり、シリンダーは窪みができるほど削れていた。 いろいろやってAM5:00寝る暇もなくシングルミーティングの行われる三河湾スカイラインへ出発。 車両を預かりこの日はここで作業を終了した。
クランクシャフトについては焼けているようには見えないがあれだけ欠けているピストンから腰下が大丈夫だとも言えないのでテストで使ったエンジンに積み替えることとした。 テストエンジンはスパークプラグねじ穴が傷んでいることもあり、腰上をOHして組み立てる。
H17.4.12 エンジンオイルを抜いてみた。 新品にはさすがに見えない黒さだ。 

 貸し出していた250ccエンジンをOHし、バルブ鏡面、ポートは鏡面まではいかないが流入抵抗を減らすように加工した(オーナーの要望) ピストンピンはDR250の軽量タイプを使用する。 ピストンリング、ガスケット類は交換する。 オーナーの依頼によりDRのオイルポンプドリブンとkamoshopのチタンタペットナットを組み込むこととなった。
(H17.4.14) シリンダーヘッドーオイルタンクバイパスも付け、ステンボタンヘッドにボルトも交換し、エンジン組上げ完了。 エンジンを降ろした状態でテストを実施しようとしたがBattが上がっており明日充電して再テストする。 エンジンテスト台がこんなに早く実用化されるとは思っておらず配線は未だばらばら。

TMRφ36 セッティング 
ピット持込時 かも1号過去データ(H12.9.26) 静止・試走行セッティング 再セッティング
MJ 140 165 160(2段上げ要) 165
PJ #27.5 #20 #20 #20
PAJ #120 #120 #120 #120
JN 10E1−54(クリップ段数:1段目) (クリップ段数:3段目) 3段 3段
NJ 外れない P2 -
PS 1と1/2回転戻し 2と1/2回転戻し べベルギアで調整 1と1/4戻し
プラグ 粉塵付 灰色のまだら 碍子:白 碍子:若干白、ねじ表面:黒 碍子:婆シャツ色、ねじ表面:黒 確認要
焼きつきに至った原因分析
まず、オーナーのセッティングパーツではPJを25以上しか所持していなかったことから静止セッティング(キャブセッティング怠ったことが判る。
キャブセッティングの基本は停止状態のエンジン始動にあり、PJ、PSのセッティングが決まってそこからパーシャル,メインが決まる訳だ。 今回のセッティングではかも号の過去データを見て判るとおり、PJがオーナーのサイズで明らかに濃いことが判る。 それを基本にエンジン始動しているためJNが5本以上種類を買い揃え、一番薄く(クリップも一番上)セッティングすることでエンジンがかかるようにしていたといえよう。 当然パーシャルでは薄く、回転は上がるがパワーはない。 一気にスロットルを全開にしメイン系で補おうとしてもMJも薄いため加速も大してない。 高速道路で全開状態が長くなり薄いセッティングのまま回し続けたためシリンダー内が異常な温度となり、潤滑性能が下がってピストンが砕け溶けた(今回腰下を開けて判ったがかなりの鉄粉がギアなどに付着していた。 腰下を交換して正解だった)

部品番号 部品名 個数 部品代
12151-17C00 ピン、ピストン 750
09381-19001 スナップリング 2 140
12140-15D10 リングセット、ピストン 1 2950
14181-18C00 ガスケットエキゾーストパイプ 1 270
11141-15D01 ガスケットシリンダーヘッド 1 1750
11241-14D01 ガスケットシリンダー 1 500
12837-14D00 ガスケットテンションアジャスター(NA) 1 120
11482-14D01 ガスケットクラッチカバー(NA) 1 830
11483-15D01 ガスケットマグネットカバー(NA) 1 650
16331-14D01 ギア、オイルポンプドリブンギア 1 2150
小計(税込み) 10616
250エンジン(部品取り) 1 40000
250エンジンボルト 1 1680
チタンタペットアジャスチング 4 4000
09168-06023 オイルシール8.2×14×1 9 630
09168-08008 アルミワッシャー8.2×14×1 5 250
09168-12010 アルミワッシャー 2 140
09168-14011 アルミワッシャー14×20×1.5 2 140
09168-16003 アルミワッシャー16×22×2 2 140
09360-12008 フィッティングボルト12×27 1 340
09360-14012 フィッティングボルト14×27 1 410
16450-47D00 ホース,オイルエンジンヘッド 1 5150
0913-10118 エンジン,シャフト(錆が酷いため交換) 1 150
PJ=20 1 525
MJ=165 1 525
ミッションオイル 2400
ケミカル 500
耐水ペーパー 3 240
工賃(7+4+10+4h)*800円セッティング時間除く 20000
小計 77220
事前に預かった\25000のおつり

軽油代:¥4,579−
有料道路料金:¥13,850−
ミツトヨデジパ:¥6,000−
合計¥24,429−

\-571
合計 \78,186
頂いたお金(お駄賃付き) \79,000

H17.4.29受け渡し
オーナーが見える前に再度セッティング。 その時以前はまっていたヒートガードを取りつけた。
それなりに走れるセッティングが出ない。PJ:2.5回転戻し、MJ:160(165でかぶる傾向がでた)

オーナーが自宅に帰ってからプラグチェックしたっところ、プラグが真っ黒。 TMRファンネルにラムエアーのフィルターが被せてあるのだが
ヒートガードがキャブBOX状になっており、インポートの前に壁を作ったことが原因と考えられる。 ヒートガードの改善を薦めた。
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