ボルトの錆・腐食

整備していない車両をOHするときに一番厄介なのがボルトの腐食・錆。 当然外す時に外れなかったり、折れたり、なめたりと言うこともあるがそんなことより問題なのは潤滑! 単気筒の多くは振動吸収するフレーム構成が多く用いられている訳だがGooseも例外で無い。 フレームやエンジン、足周りが複数に繋げられて構成している。 繋いでいるのがボルトである以上。 微妙に動く部分も潤滑を施すべきである。 しかし、考え方を変えれば繋ぎ合わせる部分は固定部。動かさねばならないところはベアリングを入れてある。 そのためアクスルシャフトもエンジンマウントも買ったときから外していなければグリスは塗られておらず、10年も経てば錆びたり腐食していてもなんら不思議ではない。 締め付けトルクを無視し力いっぱい締め付ける人は問題外だが、「私のは触ってないから大丈夫・・・」って言う人。 そんな訳無い! と言っておこう。
左の写真のボルトはエンジン・サスのリンク・アクスルから外した物だが上から2本目の白い部分は雨水などによる浸入で腐食に至ったもので、ナットも1/2の超ロングスピナーで何とか外れるくらいのもの。外す時「パキッ」っと音がし、ナットが外せれば抜ける。 その下のボルトや一番下のアクスルシャフトは軸全体に錆が出ていてベアリングと結合してしまい、外す時にプラハンで叩くしかない。 もちろんベアリングは横向きの力には弱い。 タイヤ交換をお店に出している人が殆んどだと思うが、お店では当たり前にプラハンを用いることを知っておいたほうがよい。(手で抜けるものでもだ。 錆びているアクスルシャフトは磨いてくれる店もあるが、交換すべき時を教えてくれる訳ではない。 というかお客様を待たせない、不快感を持たせないことを優先して言うべきことでも言わないことも多い。) 出来るののなら自分の目で見て相談できるお店でやってもらいたいがお客が横にいて作業しにくい店が多いだろう。(せいぜいガラス越しに見せるだけ)

ボルト・ナットを外す
正直に言って基本が出来ていない人が応用を使う姿を何度も見ているので当たり前のことでも書いてみる
@ボルトとナットの組み合わせの場合、ナット側を緩めること
A1箇所で止まっていないパーツは車両本体を安定させた上で止められているボルトを星を描くような感じで緩める順を決め、均等に緩める。
B固く締まったボルトは初めからラチェットを使うのでなく、Tハンドルやスピナーハンドルを使う(一部高トルク対応にギアが組まれているものを除く。)
C回す時は極力ソケットに手を添え、ボルトナットがなめないようにする
D自然な姿勢で回せるように出来るだけする
E車両を傷つけない・怪我をしないために適正工具を選ぶ。 無理はしないこと
まず、適正工具について話そう。(守山商事のHPにも書いたと思うがライダーに向けて書いていないので)
ソケットレンチ:一般ライダーが揃えているソケットレンチ<ボックスレンチ>は3/8のものが多く、セットで入っているスピナハンドルでは足周りやエンジン,フレームを整備するには能力不足で適正工具とは呼べない。 知識が無いと3/8ラチェットレンチを使って足周りまで外そうとするが、どんなに良い工具も使用に当たり最大使用トルクはある。 3/8の工具に体重をかけて外すというのは根本的に間違っている。 国産の有名メーカーソケットはセンターがでており力の分散が出来るため、同メーカーのロングスピナーハンドルを使うべきである。 M14以上のボルトは1/2のセットを使うことを勧める。 指定トルク数も高く、車両も基本的に1/2の工具が使える造りになっているはずである。 ソケットに関してお勧めできるメーカーは「Koken」だろう。 最近はホームセンターでも手に入るようになったし、雑誌にも取り上げられるようになった大阪のメーカーである。 工具ショーなどで営業の人と合うこともあるが損得で工具を作っていないから顧客ニーズで作られる物は少ないかもしれないが丈夫で精度が高い。 今ではソケットやビットの種類では世界1であり、自他共に認めるメーカーである。
スパナ(Open/Off/Combination):スパナも種類があり、使い分けることをすすめる、スパナというとだいたいオープンエンドを指し、それに対しクローズ・オフエンドはメガネと一般的に言っているが見て判るとおりオープンエンドは手の返しで回せるものでスピードを重視したものであり、トルクをかけるものではない。 メガネはトルクを掛けられるがオープンエンドに比べると軽い回転で回せるボルトを早く回すことに向いてはいない。 持ち帰るのが大変だからメガネとオープンエンドが両端に付いているコンビネーションがある。 これをセットで買っておくと良いだろう。 予算に余裕が出来、メガネレンチも買うならばアングルの付いたもの。コンビより長めの剛性の高い物を選ぶと良い。
お勧めできる物と言うと…薄さで言えばイタリアBata、軽さで言えばドイツスタビレー、M8〜M14くらいはSnap-onのフランクドライブのコンビネーションが使い勝手はいい。 そんなところだろうか。
ヘキサゴン:これはL字タイプのセットを買っている方がやはり多いがこれも使い分けが必要な工具でもある。 ブレーキディスクなどは3/8の軸が短いものにスピナーハンドルを付け緩めることをお勧めする。 L字のものにパイプを連結したりメガネレンチを組み合わせるのは苦肉の策で決して通常使う手法ではなく。 対応が取れる工具を買うべきである。 L字は狭いところや小さいサイズを緩めるときに重宝するが、高トルクはソケットを用いた方が良い
勧められるものは通常使うL字がスウェーデンのPB、面接触で力が入るドイツのベラ、狭くて極端に短いものならボンダンスで、ソケットはドイツのハゼットやKokenがねじれに強く経験上外れやすい。

どこでどの工具を使うかというのはその人が普段どのような整備をしているのかあからさまに出るので興味深いところではあるが、一生使える工具を壊されても困るのでkamoairピットでは人を見て工具の貸し出しをします。 貸さなくなった時、それはやっちゃいけないことをした時です。 その代わり私が手が開いていれば私が行ないますので勘弁してください。

ボルトの補修
アクスルシャフトやエンジンマウントボルトなど
boltshopで作成していないボルトは
製作を検討に入れるが売れる見込みがないと
補修に入る。

まず、使用済みエンジンオイルなどに浸し、
やすりでシャフト部を磨く(軽いものだとウエス・錆が出ていれば、
ペーパーやすりや棒やすり、状況に合わせ工具を変える。

ねじ部もオイルに浸した後、ダイスでねじ面を綺麗にする。
何度も繰り返すのがコツです。

補修に過ぎないが、錆びにくくも腐食しにくくもなる。

ボルトの頭はデザインナイフで汚れや錆を削り取る
(ナットも同じ方法で綺麗になる。)

その他リンク なめたボルト・折れたボルトの外し方
ボルトサイズ・標準締め付けトルク他
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