マフラーの障害(故障)


マフラーの構造はマフラー・チャンバー・サイレンサーに書いたので省略します。 通常ではないとき・・・そんなことを書いてみましょう。
たとえば2ストロークエンジンで排気デバイスのない場合、エンジンはかかるものの、殆どスピードは出ない。 しかし、排気デバイスがあると多少は走れるようになる。 4ストロークの場合は排気バルブがある。 これによりある程度は走れたりする(音は「キャポンッ・キャポンッ・・・」といった音がする。 大気中に排気するということはバックプレッシャーがまったくかからないこととなる。 低速はそれなりのトルクがある。 車両性能の6割程度しかスピードが出なかったりするからマフラーの効果は大きいことがわかる。) 頭がおかしい人でなければ故意にエキパイ全部を外す人はいないはず。 騒音を考えないにしてもドラッグレーサーのエキパイのように正圧波と負圧波が発生できるようにされている(低速を高くするため短くラッパ状になっていたりする)。 高速性能を伸ばすならエキパイの長さはGooseで理想は車両より長くなると思われる。 

ヨシムラのレース管のトラブル
レース用マフラーの場合付け替えの簡単とコストダウン(左写真の部分はエキパイがチタンでもステンレスで出来ている。 
ビックシングルは排圧が高い上、発熱も大きい。 スプリングで止めていてもスプリングは排圧で即折れる。 ワイヤリングで引っ張りを制限してやると今度はスプリングマウントが折れてしまう。
私が取った対策はチタンの削り出しのEXパイプを作りエキパイと溶接する。(写真は後日掲載)

このマフラーはヨシムラのレース管と同様EXパイプはステンレスでエキパイはチタンだ。 しかし、元パーツメーカーのマフラー製作スタッフで独立された方と話したのだがこんなところをスポット溶接で繋げるべきでないと聞く。 チタンとステンレスの溶接も聞いたことがないと聞く。 新2号のエンジンではレーシングでトロンボーンのようにエキパイが前後するほどだ。
左がピボット溶接された部分。 実際は付いていない。凹みが引っかかっていただけだ。 ヨシムラのレース管との根本的な違いはチタンとステンレスを溶接しようとしたことだ。 結果的にこれもだめだということ。 またもチタン削り出し。
上で紹介した2つのマフラーを片桐さんに直して頂いた状態です。 各1万9千円で修理していただきました。 チタンのブロックを旋盤で削り出し、マフラーに固定した後溶接して繋ぎ直した状態。 安いと思います。 それだけするに値するマフラーだといいのですが・・・

スーパートラップ(Gooseは排気が高温・高圧のバイクだから特に・・・)
・スーパートラップもディスクを抜けば貫通・共鳴式だ。 サイレンサー内のパンチングメタルの内側にはグラスウールが入っているのだがこれがディスク取り付け面とサイレンサー本体の隙間からバラバラになって抜け出てしまう。 中古でスーパートップを買うとすでに抜け出ていると考えOHしてください。
・ディスクの固定のボルトは焼きつく可能性が高いです。 トラップ用のグリスを使いましょう。 ナットごと外れることも。 その時はOHし、ナットを溶接する。 スポット溶接なのですぐ外れる。

事実に基づく整理
・EXポートからの排気漏れは高速セッティングを著しく低下させる。
・大排気量の単気筒でバルブ径が小さいとそれだけ排気圧は高まり、貧弱な固定では持ちこたえられない。
・ビックシングル特有だが同容量排気量と比較し高い熱量を発する。 カーボンなど樹脂は焼けやすい。 
・排圧が高いということは抜けるスピードが速い。 エキパイが短いと正圧波が抜け出て、マフラー本体は真空に近い状態となる。
 通常だと正圧波が返る負圧波がマフラー内で発生するのだが大気から吸い込むこととなる。 大気温度は排気温度と50℃以上違うことが多いだろ。 理論的に考えても気流の乱れを引き起こす。 (純正は理にかなっていることが判るでしょう
ここから判ること
これは改造エンジンだからと片付けるのでなく、改めて考えてほしい。
私のはSTDマフラーだからという人
・排気漏れはないですか? 中古車購入してそのままなんて良くあることですが、EXポートのガスケット、サイレンサーのガスケットは潰れてないですか? ぐらぐらでは? 黒鉛がシリンダーやエキパイに付いていたりしませんか? 手をかざし空気の動きがはっきり判ったりしません? 高温で使用できる液体ガスケットを新品のガスケットと併用するとよいでしょう。
マフラーを変えていますという人
エンジンに見合ったマフラーを付けていますか? 抜けが良いだけでは下がスカスカになってしまいます。 極端に短いマフラーはある程度低速トルクはあるものの。 高速セッティングが比較的でない。
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