10年以上お客さまのGooseエンジンをO/Hすると何度か見るカム面、カムの軸受けの削れ。 原因はオイル切れと思われる。 「オイルポンプ詰まりによる焼きつき例」は明らかにシリンダーヘッドにオイルが回らなかった。 しかし、多くはシリンダー内の焼きつきは見当たらず、カム周りのオイルが回っていないように見えたのだ。 今回はお客さまから350ccのシリンダーヘッドの注文が入り、私のPITの在庫を調べた時に軽い症状であったものの同様の事象が見えるもの(左写真)を見つけたので調査してみる。 ご注文して頂いたお客さまからもオイル切れのあったシリンダーヘッドを預かったため調査に使わせていただく。 |
ロッカーアームは2セット送られてきた。 1セットはえぐれている物 |
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もうひとつが面が荒れささくれ立った物 上の写真のカムとカバーの全体がこんな感じ。 何故、オイルが追いつかなかったのか? |
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シリンダーヘッドのオイルラインを辿ることにする。 クランクケースの送油ポンプからオイルフィルターを経由し、シリンダーの4点固定して いるボルト穴(カムチェーンライン側の2つ)の隙間がシリンダーヘッドまでの送油管である。 赤い線で中の繋がりを明記してみた。 噴射ノズルはシリンダーヘッドカム軸受け付近の赤丸○でシリンダーヘッドカバーの方も良く見るとその位置のボルト穴@だけ大きくされ、ロッカーアームにもオイルが周る仕掛けになっている。 送ってもらったカムやロッカーアームはパーツクリーナーなどで清掃されてきたため、何処までオイルが来て、何処からオイルが来ていないか判別はできない。 しかし、オイルが各所に届く仕組みとしては純正自体、雑に思える。多少の加工はした方がよい。 例えば@の箇所をテーパをつけてやるとか、 ロッカーアームシャフトの穴を増やすとか。 |
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中古カムを購入されたお客さまから届いた写真 | |
お客さま:カムには傷、ロッカーアームは摩耗して抉れていました。 取付後、不具合なく始動、走行できました。 kamo:吸排気側も焼けていますね。 排気側が特に片摩耗しかなり叩いていたのでしょう。大きく研磨されいています。 |
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多くの原因はオイル量の管理ミスや回し過ぎ、キャブセッティングミスですが、タペット調整を全くしていない、また、調整ミスも原因に上げられます。 使用温度によってはシリンダーヘッド温度が高くオイル切れになりやすい事象が生じます。 経年でタペットボルトが減ったりナット緩みによるバルブのバウンス、燃焼不完全、不正点火など引き起こし良くなることはありません。 バルブ折損や焼き付きで走れなくなることも起きています。 |