上死点を探す。
クランクシャフトを回してピストンが圧縮上死点になる位置にあわせてタペットクリアランスを出すのだが、サービスマニュアルの[参考]で書かれている”ジェネレーターローター面のT刻線をあわせた時、ロッカーアームとバルブの隙間が出来る所が圧縮上死点”というのがまず本当なのか確認したい。 |
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ダイヤルメーターにクリップ(大)を伸ばした測定端子を固定してTマーク付近のピストンの上下を確認したところ間違えなくTマークが中心の時にピストンが上死点となることは判った。 |
クランクとカムシャフトの調整
”ピストンを上死点に合わせカムシャフト刻印をシリンダーヘッドカバー合わせ面に平行になるように組み立てる。”とある。 これについて疑問は無いだろうか? 刻印を合わせるだけならば180度違っていてよいのだろうか? (結果はGooseやDRの場合どちらでも変化は無いことがわかった。) |
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スプロケットにチェーンをはめる為にはカムチェーンテンションアジャスターを外さなければならない。 スプリングだけ取って戻せるか検討したが構造上むりであった。 |
タペット調整
バルブとタペットスクリューのすき間の規定値は決まっているが特性が変わる。
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Tマークの位置を上死点(0度バルブが吸気・排気とも閉じた状態)の目安というがというが720度で1工程の4ストロークではTマークが360度(オーバーラップ状態で吸気・排気バルブは開いている)の時にも訪れる訳だ。 だから間違えればバルブの開きが小さくなるはずです。 壊れることはないでしょうがパワーロスにつながるので注意してください。 | |||||||||||||
左図は藤沢式バルブタイミング図です。 工程例としてみてください。
オーバーラップと書いてある下の0(上死点)→27(排気バルブ閉)→180(下死点)→240(吸気バルブ閉・圧縮開始)→340(点火・膨張開始)→360(圧縮上死点)→387(排気バルブ開・排気開始)→450(下死点)→686(吸気バルブ開)→0 判りやすいですね。 ホンダは左回転の車体もあるので注意してください。 他のメーカーはだいたい右回転です。 |
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ダイヤルゲージ固定端がないためNSR50のカウルステーを使うこととした。 | |||||||||||||
フライホイルを外してAPEのタイミングホイールをセットする(ダイヤルゲージでピストン上死点を探し、Oにあわせる。 指示金具は何でもよいです。 私はゼムクリップを伸ばしボルトで締め付けています。) | |||||||||||||
冷機と書かれているサービスマニュアルのクリアランス値は以下の通り。
特殊工具:タペットアジャストドライバー 09917-14910 |
バルブタイミングが狂うと加速、燃費は悪化する。
Q:バルブクリアランスというものを極端に狭くしたり、逆に極端に広くしたらどうなるのだろう? | |
A:資料が自動車のものしかないが、同じ様な形のグラフになるだろうから参考にして欲しい。 クリアランスを思いっきり狭くしてみると音は変化しないが、アイドリングが全く安定しなくなる。 しかし、すこし回転を上げるとほとんど不具合はでない。 しかし、加速タイムは明らかに遅い。 クリアランスを広くすると意外にも調子が良い。アイドリングは一定でレーシングしてもへんな音もしない。 しかし、実走してみると加速が遅いうえに強いタペット音がする。 | |
注)タペット調整位置を360度間違えると3000rpmあたりでガタッガタッというそうです
360度調整位置を間違えた事例があります。参考にしてください(エンジンから異音がする2) <調整ミスの回避方法> タペット調整位置は「圧縮上死点だ」といっても外からクランクを回すだけでは判りにくい。 そこで簡単な確認方法! Tマークが穴の中央に見える位置は0点と360度点の2点だ。 吸気・排気バルブが同時に押されている0点のオーバーラップ時はシクネスゲージが入る隙間がない。 それに対し、360度点で圧縮している時はバルブが全閉しているから隙間ができる。 それだけ判ればもう簡単。 単なる調整なら2回点回したうち隙間が出来ない方を確認し、1回転クランクを回せば圧縮上死点付近になる後はTマークを合わせるだけ。 エンジンOH時ロッカーアームやタペットを交換したときでも間違った調整をすれば0点,360度点共にシクネスゲージが入るためすぐに間違っていることが判る。 タペット調整ミスは大きな故障の引き金になるため注意して確認したい。 |
なめた六角ボルトを外しバルブタイミングを合わせる | |
2つのキャップを外さなくてもタイミングホイールを使えば上のようにバルブタイミングは測れる。 それで合わしたのかも知れない。 しかし、始動前に確認しておきたい。
多くのGooseで経験したがこの二つの六角キャップボルトは工具を選ぶ。 L型は向いていないのだ。 しっかり支点を押さえてボルトと水平に力を加えないとなめる。 今回はエンジン修理をお客さま要望で外注したのだが、なめた後錆びや砂だとか残ったままだ。 外した形跡が無い。 ハゼットソケットを挿してもぐらぐらだ。 スクリューグラブを使って外すことを 試みたがすでに無駄だった。 |
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クランクシャフト側もしっかりなめている。 サンダーで切り目を入れ貫通ドライバーで何度も叩きながら外した。 | |
上のボルトを外し、Tマークを合わせ、バルブとロッカーアームの隙間を測る。 (少しアクスルを回した時、重い気がした。 圧縮が上がってイル高ラだろうが プラグを外して再確認する) 計測してよかった。2.0mmが吸入側にささり、排気側は2.0以上隙間がある。 完全に管理値を超えている。 キャップを切っても確認して正解だった。 どんなプロにお願いしても細かな調整はGooseオーナー自身でやらねばならない。 改めて感じた。 |
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お客さまからの問い合わせ |
Q1:タペット調整(某雑誌によると、走りやは最大値とのことで)をしていても、タペット音が酷いので
純正のタペットアジャスタスクリュを買ったのですが、タペット側の先端が、新幹線の鼻みたいに丸くはなく
真っ平らなのですが、これはこのまま取り付けても良いのでしょうか?それとも削る加工をした方が
良いものなのでしょうか。 品番は 12842−17C50 です。
A1:そのまま付けてください。 加工の必要はありません。
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