アウターチューブから
インナーチューブが抜けない
お客さまから、ＶＪ22ＡのＯ/Ｈ依頼があり、梱包を開けた。
インナーチューブには左右共に複数の縦線が出ている(深くはない）
組んだまま四方に倒し押してみるが割りとスムーズな動きだ。
インナーチューブの底のボルトを外し、オイルを抜くと比較的に綺麗なクリアーレッドのオイルが出てきた。　ガンマはＳＨＯＷＡのフォークのため、純正オイルはこの赤色のだ。　イニシャルも外し、上からもオイルを抜くと黒いオイルが出てきてオイルトレーは真っ黒。　（写真はＰＩＴの天井が写りこんでいる様子）　この状態でオリフィスまで中身は抜ける。
ダストシールとストッパリングを外し、アウターチューブとインナーチューブの中央部を持ち勢い良く引っ張るが右のホークは分解できない？
左も同様に分解したらこちらは普通にインナーチューブとアウターチューブを分解できた。
地道に引っ張ること3時間・・・抜けた。　ＳＢＳで抜けない理由はワッシャーが組み忘れで入っておらずブッシュガイドとオイルシールが噛んでオイルシールが外れて来ないのでは？　と話していたのだが、そうではなくスライドブッシュのコーティングが経年で剥がれ(オイルを黒くした原因のひとつ）そこにブッシュガイドが被さり、ブッシュガイドが膨張、アウターチューブ内径同等となり引っかかったようだ。
こちらが簡単に抜けた左側アウターチューブです
綺麗です。　

（インナーチューブも写真を取ったが光を反射し線など写らないので省略）
こちらが抜けなかった右側のアウターチューブです
内面が荒れているのが分かりますね。　ホーニングし
面だしします。
自動車ブレーキキャリパー用ホーニングを流用し電気ドリルにセットしタービン油を垂らしながら砥石を回転させる（写真は砥石が写っていないが回転している様子）
分かるだろうか？スライドブッシュを固定する面を磨いたのだ。　アルミなので簡単に削れてしまうため適度にしていおいた。
インナーチューブは本当に曲がっていないだろうか計測する
計測データ（ｍｍ）
- トップ センター アンダー
R 0.085 0.14 0.16
L 0.09 0.07 0.17
曲り使用限度：0.2ｍｍ以下ではあるが過去に転倒など曲がる要因を与えているだろう。　トップ・センターと比べ大きく曲がっている。　乗って分からない程度で倒立だから組むときも割りと簡単に組めるだろう。正立だとインナーチューブを回転させ左右の曲がった部分を合わせないと誤魔化し切れない。　インナーチューブの縦線を今回消しても、曲がりを直したわけでないからまた出るだろう。
お客さまに相談し今回は規定値以内ということで縦傷をポリッシャーで磨いて組むことに決めた。
「伸び側減衰調整付イニシャル」
小さなモンキーなどでキャップを外そうとしたのかイニシャルやキャップの六角面がなめていた。　アルミ腐食もあったので工具が挟めるよう面出しを行い、磨いた。
上のものを組んだものが写真の左側。　たぶん、諦めたのだろう右側はなめていない。　アルミ腐食で黒ずんでいるため、こちらも分解し磨く
「圧縮側減衰調整」
圧側も一緒に分解し磨いた（奥のが清掃前）
ＳＢＳから消耗品が届いた￥5040（Ｈ22.8.31）でした。　全部品を並べるとＶＪ23Ａとは作りが異なることがわかる。
- スプリング長さ（ｍｍ）
Ｒ 343
Ｌ 343
フォークオイルはモチュールを使用。　無色だから汚れると分かりやすい

エア抜きするときオリフィスのロッドも10往復ほど引き押しする。　伸び側減衰調整をキャップ側で行うため、ロッドには穴が開けられロッドを押すと水鉄砲のようにオイルが噴射する。　せっかく油面調整してもオイルが吹き出れば計り直しとなるため注意が必要です。　

アウターチューブも同じように引き押しを繰り返し、気泡が出るまで倒れないように立て掛け放置。　　その後、数回エア抜きを行う。　


参考
オイル量・油面高さはスズキ「データテーブル」から情報を得た
調整点はＶＪ23Ａマニュアルを参考にした。
余談
ＶＪ22Ａのボルトは♯８（Ｇｏｏｓｅは♯６）で3/8のＫＴＣのロングやKo−ｋｅｎの一体のものHAZETのものではボルトまで届かない。1/4も♯８はなかなかないし、ビットタイプも同じくない。　ボールタイプのL字やTレンではなめる危険があり、PBのドライバでは緩まない。普段使わないPROTO折りたたみが意外にも役立った。　組むときにジョイントを繋げればトルクは測れるが、アーム分誤差が出る。　今後も考え適正工具を組むまでに探そう。
VJ23AはKTCで外せたはずです。
VJ22A用としてKo-ken製♯８ロングソケットを守山商事で購入。
トルクを測るだけなので一瞬しか使っていない。

バーゲンのHAZETのコンビネーションSETも買ってしまった。
ＳＢＳ注文部品（Ｈ22.8.31）ＶＪ22Ａ　フォーク消耗部品
品番 品名 単価 数量 価格
5112148Ｂ31000 ブッシュ　スライド 660 2 1320
5114836011000 ガスケット 130 2 260
5115208Ｄ00000 ブッシュ　ガイド 490 2 980
5115308Ｄ00000 シール　オイル 710 2 1420
5117315Ｄ00000 ダストシール 410 2 820
合計 4800
消費税込 5040
Ｏ/Ｈ完了後、お客さま　連絡がありました
昨日、フォーク取り付けを完了して貫通シャフト以外のボルト取り付け＆メンテナンスをして今日、問題点を洗い出すため街乗りをしてきました。
前のダダ漏れ状態に比べてこんなにも乗りやすいのか！とびっくりしました！　「直線は退屈だ」のフレーズに嘘偽りなしでした。
フォークは最高です！本当に感謝しています！
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