中古車の修理 


ねじ販売において、お客さまの住所が近かったため、もしよろしければとPITに招いたのが切欠で
エンジン修理を行うこととなりました。 
現状
・バッテリーは購入後、交換したがエンジンがかからないため1ヶ月ほど放置
 (スターターモーターは回る。プラグは新品で火花は出る)
・オーリンズのリアサスとヨシムラのキャタライザーマフラーが付いている。他はSTD
・エンジンから漏油がある
・ガソリンはオーナーが錆止めとして満タンに入れておいた(おそらく1月は経過)
お客さまからの要望:とりあえずエンジンがかかるようにしてほしい。
「結構、整備が出来る人が乗っていたから」という言葉に「そういう人が乗っていた車体の方が
案外危険なんだよ。(もちろん、完璧な人もいますけどね) まったく手が出せない人の車体の方
が修理する上では楽なんだ。」と答えておいた。
動かない車両のため、トランポでご自宅まで取りに伺い、SBSでパーツ注文後、すぐに腰上のO/Hの作業を行った。 
耐油ホースが縮んでいる。ガソリンの通りも悪いだろうと話すとこれは今のオーナーが交換したという。 原因はこれではないが、後日交換した。 例によってキャブやエアクリーナーの取り外し方法をレクチァーしながら、250ccのためエンジンは下ろさず、シリンダー周りのO/Hを実施。 エンジンを傾ける時感じたのが全然合っていないトルクと、シリンダーヘッドカバーの社外品液体ガスケット。 ハーネスの誤った取り回しだった。 1度前のオーナーはエンジンを下ろしていることは理解した。 怖いのはどこまで分解しているのかだ。 今回触らないねじはトルクオーバーだったりトルクが足りなかったりする。
カム面は問題なし、ロッカーアームは中央に縦線あり、若干叩いた形跡あり、シリンダーは少々縦線あり、ロッカーアームは指で凹みが感じない程度でそのまま使うと判断。 シリンダーはホーニングした。 ピストンは排気バルブが当たった形跡あり。 バルブを分解し曲がった形跡なし。ポート周りはカーボンが酷く内部まで清掃。 面出しして組み付け。 ピストン・ピストンピン・リング他交換。 シリンダーまで組んで21時前。あがりかかったBattを充電しマックで夕食。 シリンダーヘッドカバーを取り付け作業を終えた。 6時間くらい続けての作業だった。
 翌日、タペット調整すると、やたらと硬い締め付けのナットと締め付けされていないナットがある・・・吸気左側のナットが空回りすることが判明。

エンジン内くらいトルク管理してくれと思いつつマイナスで持ち上げながらナットをまわし取るとねじ山なし
 雄ねじ側はナットのねじ山が巻きつくだけでなく、ねじ山が潰れている。 斜めにねじを入れたんだろう。 吸気側の開きが長くダンピングしていた可能性が高い。(ポート清掃時、吸気側も割りと煤が出た)
 タペットナットのみの交換で済まず、せっかく乾いたガズケットを外し、中古部品に交換。 修理できた。

チェンジロッドのベアリング部だが、トルク管理が本当に判っていないことがここでも判る。

ボルトの頭が折れているのに中でねじ山が崩れているのかボルトが曲がっているのか?回す事が出来ず苦労した箇所だ。
フレームとエンジンが邪魔しサンダーなど電動工具は使用できず、手鋸(ハックマスター)で切れ目を入れレバーで開き抜き取った。 これも中古品と交換した。

Batt充電後、簡単なキャブ調整をし、エンジン始動。オーナーにも乗ってもらった。
O/Hしたことでオイルが減った分と調整と、漏油箇所の確認を行った際、一昨日、オーナーがマグネットカバーの1本のねじが緩んでいると話したことを思い出した。 外してみると填っているねじの長さが間違っており、いくつかねじ山を潰しているため、タップでねじ山を直し、BoltShopのステンレスねじに交換した。 パッシングSWの接触不良などその後、不調な部分を直した後エンジンをかけるとエンジンがかからない? 点火はある。 ガソリンホースを純正に変えたが曲がりはない。 ガソリンがキャブに入っているかキャブドレーンを緩め確認。 黒いガソリンが出てきた。
キャブのねじもなめた跡があり取替。 PBでなければ外せなかったと思われる。 タンクを外すと真っ黒でヘドロっぽい(飛び散った液体を見ると判るが油と水が混ざった感じ)液体があった。
パーツクリーナーのでの洗浄後、固形物のこびり付きをリューター等で剥がした。
白く結晶化されたものをワイヤーブラシやナイロンブラシ磨き取ると灰色のかすがこのように取れた。
ミキシングボディー側も全部分解し洗浄。
ジェット類はNJが腐食していたため交換。他は洗浄した。 ガソリンタンクの錆もあるだろうがキャブのタンク自体の鉛が溶け出していると思われる。 左写真で判るだろうか、ワイヤーブラシ跡ではなく解けた部分の線がくっきり見える。 ゴムパーツを交換し、アイドル調整用ワイヤーの硬化したゴムホースを取り除き組むと再度エンジン始動。

今まで見てきたレーサー車両や社外部品がいっぱい付いているGooseを多く見てきたが、パーツとしてみれば、もう手に入らないもののオンパレードで購入価値はあるのだがそのまま乗ろうと考えると上のような問題が多々あり、厳しいのが現実だ。 自身があるのかサービスマニュアルを見ずに整備するやりかたは私にとって考えられない。 Gooseのサービスマニュアルを熟知している私でも毎回、利用し、必要に応じ注意点を記載しているのだ。
inserted by FC2 system