H26年ゴールデンウィーク。 長野近くから緊急要請依頼があった。
前日、オイル交換した車両のクランクケースが割れ、走れなくなったと聞き、 慌ててトランポで迎えに行った。 実は、異音がするという相談を受け、オイル 交換後エンジン音を確認し、タペットの音も小さく、FCRが付いているため、 浮動バルブのカタカタ音はあるがこれは異常ではないことを告げたばかりだった。 心配ならプラグチェック他行うか確認したが、翌朝早いため、その時は行わない こととした。(心配なら、またPIT来てヘッドカバーを開けてみようと約束していた) 作業した後、起こる故障は、作業時に何をしたか疑うのが基本だが、オイル交換で起こる故障ではない。 他に行った作業といえば、USB電源のハーネスのつなぎ直しくらいだ。 クランクが割れる故障に繋がらない。 片道5時間半かかってオーナーと故障車に会えた。 エンジンとオイルタンクのつなぎ目が切り離され、コンロッドらしき金属片が見える。 まったく原因が見えない。 過去、サーキットなど走行中、バランサーがエンジン外に飛び出し、オイルクーラーに突き刺さる事象を見たが、バランサーの部分はひび割れているだけだ。 下側に穴があいている。 状況が違うと思う。 オーナーに確認。エンジンが温まると音が大きくなったと聞く。 つまり、問題の異音が聞けていなかったのだ。 ノッキングがあったのだろうか? |
PITにてO/H開始
・プラグは乾いていた。 カーボンが堆積していて、オイルが上がった形跡はない。 ・カムの傷はほとんどない。ただ、再使用は出来ない(排気側の傷が大きい)。 ・クランクが90度しか回らず、 カムチェーンを切って分解。 ・ロッカーアームは排気側のへこみあり、2次的なトラブル(コンロッドが折れピストンが固定されてもカムは回転し、バルブとピストンが当たった可能性が高い)でカム・バルブ周りのトラブルが起因ではないと判定した。 |
・シリンダー内の縦傷は無く、スカートが割れている ・ロッカーアーム大端部が大きく3分割に破断して曲がっている ・ピストンはコンロッド小端部からピストンピンと一緒に引きちぎられ、粉々 ・クランクシャフトからローラーベアリングのローラーが全部抜け落ちている 壊れた個所で固い部分はシリンダースリーブとロッカーアームで動かないスリーブを原因とする仮説はたたない。 すると原因は絞られる。 原因 クランクベアリング不良。 ローラーベアリングの歪が低い回転と低温時は出にくいのだろう。 PITで聞いたエンジン音は冷温時のアイドリングの音だ |
関連リンク | べつのエンジンを積み部品交換しようとしたら、故障エンジンだったので再度エンジン下し オークションで落札したエンジン |
別のエンジンを積むため両サイドカバーを外し点検 このオーナーさんは私のホームページを見ていてくれた らしく、私が紹介したことが実際に行ってあった。 これにしよう! ボルト・部品を取替 |
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ロッカーアームは3台の内、比較的良いものを面研使用 | |
エンジンを売った理由はチェンジのシャフトだね。(図下) 山が潰れちゃって使えない。 これも交換。 |
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ここまで組んだら、積み込んで調整だ。 |
積載・タペット調整完了(オイルは走行可能なくらいまで1.4L程度入れた) | |
FCRのアイドル調整スクリューの引出ガイドを作成 厚めのアルミ板を使用 |
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鉄の350用レリーズアームから250用アルミレリーズアームに変え、肉抜き。 裏側のへこみの部分を全部抜くと剛性は取れないか試験したところ、変形なく引けた。 | |
スプロケットカバー 1.2mm程度のアルミ板にカーボンステッカーを貼ったもの が以前作ったが、貧弱だったので、ヨシムラバックステップ 並みの厚さのアルミで作り直した。 |
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錆びていた純正マスターガードを外し、2mmアルミ板で 作り直し。 |
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直ったが、車検が丁度切れたらしい。 | |
オーナーと車検場へ行き 無事合格しました。 |