ブレーキキャリパー
パーツカタログ 350:FIG.43Fキャリパ
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中古車のブレーキキャリパーを保存のためオーバーホールしてみて、いろいろ気になった点がありました。皆さんのブレーキは大丈夫ですか?
私の知るところではブレーキ性能を引き出していないのに”ききが悪い”といって、ブレーキ強化をする人がいますが、「それって本当に必要だったの?」って思うことがよくあります。お店は儲かるから、高価な物を勧めたりしますが、必要以上のものはロスも大きいですよ。 |
整理しました | ブレーキの構造 |
キャリパーオーバーホール・組立て | |
流用・取り付け | |
ブレーキディスク | |
マスターシリンダー | |
brembo |
私が大変状態がよいと判断した中古車(メータ読み:約9000km)でもリヤのキャリパー(左上の写真)はブレーキかすがこびり付いて、ピストンが戻りません。 均等に力が加わらなかったのでブレーキシューは片方減り方が少ないです。 これではロールバック効果の期待も出来ません。 フロントのキャリパーは(左下の写真: ブレーキかすをふき取った状態)パットの錆が移行し、ピストンが腐食していた。それに明らかにピストンの出かたにバラつきがある。このままピストン交換をすれば 当然、これではブレーキ性能を発揮できない訳だ。(スペア−にもならない。) 必要なのは定期的にパットを外し、パットの清掃と面取りを行い、現状より少し多めにピストンを出し、布などにパーツクリーナーやシンナーを染みこませて拭くのがよい。(注意:バイクショップでもよくキャリパーに直接パーツクリーナーを吹きかけているのを目にするがオイルシールにもかかるため、劣化の要因となり良くない。) |
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ブレーキパットを固定するピンはパットのスムーズなスライドが出来るように常に清潔にしておきたい。 上のピンは少量のモリブデングリスを塗布して10000km以上使ったもの。 下のピンは9000km未満の何も手入れしなかったピン。 一目瞭然ですね。ピンのひとつぐらい…そんな考えがが性能を落とすのです。 ピンが折れることは考えられませんがパットが戻らなくなる原因となります。 また、錆によりピンが抜けなくなることもあります。 |
外見ではわかりませんが、フルードの漏れが無くてもブレーキかすやピストンの腐食でシールに傷がつくことが有ります。走行中に漏油したらどうします?車検場でもここまで見てませんから、信頼できるメーカーか自分で確認しておいたほうが良いでしょう。(シールは必ず取り替えましょう。安いから。) | |
中古車でOHされていないブレーキを開けるとだいたいこんな感じ。(右図) フルードが古く褐色どころか粘性まであり詰まりを引き起こしている。 大抵は上のようにダストシールに酸化したフルードが結晶化し、Oリングの下に溜まりピストンの動きを阻害するのが原因だがそればかりではない。 ピストンが戻らないと発熱は多くなる。 無理にピストンを出し入れすることでOリングがはみ出したりする。(漏油してから気付いても遅いのだ) その時はディスクが大分焼けていることだろう。 ひどい物を見すぎて馴れっ子になりつつあるが各オーナー命を大事にしてほしい。 Oリングやピストンだけでなく、腐ったボルトも交換しよう。 |
お店でヤマハ ジールのパット交換を手伝い、あまりにも酷いのでもらってきました。
赤の矢印はローターの内輪と摩擦し、削れた部分、パットは無く、ベースが削れています。 だいたいパット部が2mmくらいになったら交換するようにメーカー(べスラ等)は推奨しているのです。 これではローターをベースで傷つけて止まっている訳ですよね。 止まらないうえにローターまで交換となれば余計に高くつきますのでご注意を。
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ブレーキカスもここまでたまるとパッドのスライドに悪影響を及ぼす恐れありです。 簡単に落ちるので落としてあげてください。 |
ブレーキフルードは黄ばんできたら、タイヤ交換を目安で交換しましょう。(出来たらキャリパーのシール交換もここですると安く出来る。)茶いるになる前に変えましょう。 |
お客さまの修理をした時、エア抜きが出来なかったときがあった。 OHしてみるとの結晶となったDOT4がフィッティングボルトやマスターシリンダーの穴を塞いでいたことがある。
鳴きがどうしても止まらないと感じたオーナーは見てみた方が良いかもしれない。 |
ブレーキの鳴きを止めよう
【ブレーキの鳴きの原因】 1930年S.Thomasの「摩擦振動問題の研究」 1947年藤井氏の「摩擦係数が速度に対し負の勾配をもつ時にStick-Slip現象が発生する」 というものでした。 なんだか難しいんだけど、大雑把に言うと「進もうとする力に対し摩擦を起こす「負の力」による振動が鳴きの原因だ」と言っているんだ。 これを負性抵抗振動説としている。 1976年N.Millerの「摩擦係数が一定であってもその値が高いとブレーキの鳴きが発生する」や自動車技術会が出しているのが動的不安定振動説。 この2つが原因だというのだが・・・。 知りたくなになるでしょ? 未だに解明はされていないし、対策はそれらの説から来る物なのだ。 完璧なんてないんだ。 ディスクブレーキの鳴きは500Hz以下の「グッグッ」という音と1.5kHz〜十数kHzの「キ〜」音などで走行中に気になるのは「キ〜」音ですよね。 これをなくしたい訳だ。 原因というのが摩擦現象とブレーキ振動なのでμ値が大きいほど鳴きやすいということは言えそうだ。 雨だと鳴かない=雨だとμ値が下がる。 理論的だ。 どうもブレーキパッド振動に多くの原因がありそうだ。 交換できるパーツなので振動は起きる。 以下に振動させないかが鍵である。 |
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原因 | 対策 |
パットの面が立っていると摩擦係数が上がる。摩擦によりパッド・ディスクが振動する | 赤い部分を重点的にやすりで面取りしましょう。 |
ディスクの傷(レコード状)が大きく、制動時ディスクもパットも細かな振動を発生する | ディスクローターは曲がりや厚さで交換基準が決められていますが、 鳴きが気になるようなら面だし・交換も考えてください。 |
ブレーキパット面が荒れていてブレーキローターを新しくしたことで鳴くようになった。 | ディスク・パット共に新しくても、起こりえる。 結局、接触面.が密着できていない訳だ。 |
メンテナンススタンドを使い、ホイル を空転させると擦る音がする。 |
ディスクの曲がり、シクネスゲージですき間を測定する。 |
ディスクの固定不備:ディスクの曲がりがないことを確認し、均等なトルクで閉めなおす。 | |
キャリパーロールバック不良:ピストンの汚れとフ ルード入れすぎや汚れ、シールの不良も考えられる。 |
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フロントよりリアが鳴くというケースが多いだろう。 これはフローティングのお陰だろう。 ディスク本体とディスクマウントの振動で発生する音は低い音で気にならないことが多い。 ブレーキパッドの振動を低減させているのだ。 摩擦係数は上げられるし研究の成果が伺えるものですね。 |
上記対策でもなきが止まらない方お試しください。 |
アタックレーシングから販売されているドラック1とドラック2です。 オートメカニック2002/9臨時増刊で効果が証明されています。 |
ステンレス製ブレーキピン作成 | |
パーツ店に並ぶ前から作成する用意があった ステンレスピン(バンドソーで切った状態で放置状態)。 今回のお客さま用と合せ20セットほど作成した。 砥石で両面を丸め、 |
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2.1mmドリルで1本ずつ穴あけ。 2〜3本穴あけの度に削れなくなる ドリル刃を砥石で研ぐことを繰り返す |
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Rピン穴は6.5mmドリルで面取り、 1本ずつキャリパーに取り付けて 再度、砥石で長さを調製。 意外と手間はかかる。 |
例外? |
お客さま:実は、リアにディスクロックを付けたまま動かされてしまいました(>。<) エア抜きのボルトがぽっきりと・・・。 いろいろと折れたボルトを取ろうと努力したのですが、取れず挫けました(ー。ー;) kamo:私はキャリパーサポートごと折った事があります。 知り合いに送ってもらっい発進したとたんボキッと…。その場から立ち去りたかったさ…。 「大丈夫?って聞かれて」 知り合いの元へ戻り、携帯していた工具でワイヤリング。(何とかなった!と心で思いつつ)「大丈夫!(笑)」って答えた苦い苦い経験を思い出してしまいました。(なお、同情して書いたメールが他の方に届いてしまったのも計算外!) 1度折ると2度目はまず無いです。 リアブレーキがかけられないのはフロント以上に厳しいです。 |
ブレーキについての問い合わせ |
Q1:ステンレスメッシュのブレーキホースはやはりEARL'Sがいいのでしょうか?アタッチメントの材質はアルミでいいのでしょうか? A1:EARL'Sもグッドリッジもヨシムラもフィッティングはアルミです。 性能はどれも変わらなく感じました。 結局メッシュホースに求めているのは制動時のホースの膨張をおさえ、キャリパー側に油圧をかけることです。 微妙なブレーキングに対しても、強いブレーキングに対してもライダーが望んだ力がリニアにかけられればよいのです。 その点ではどれも不満がありません。 0.1gでも軽量するならブレンボがすごく軽く良かったので良いですね。 ただ、入手困難。 それからステンメッシュホースと書かれていないパーツがあったら要注意。 中古で錆びた物を見ました。 酸化が進めば性能に影響が出ておかしくないパーツです。 フィッティングの表面の錆も気になるならアルミのものをお選びください。 |
Q2:最近フロントブレーキがジャダー(バイク用語が分からないので間違っていたらすいません)を起こす事が時々あります。エア抜き済み、パッドは交換済み、ブレーキ周り増し締め済み、これら作業以前から出ていた。これはキャリパーの動きが悪いと考えていいのでしょうか? A2:フロントブレーキはフローティングされていますので低速時ある程度はキャリパー及び舵に振動が伝わるでしょう。 また中古車だとフォークの曲がりだったり、ディスクの波うちが原因だったり、パットは変えてもパットを固定するシャフトは変えないなどでパットが平行に押されない。(パットの面でなく角だけ当たっているとか) 車にお詳しいようですのでお話しますと車の場合オフセットはディスクに付けないですよね。 ディスクの径や穴位置が違ったとしても。 1cm以上ホイルからディスクが 突き出す場合もあります。 熱が加わるとオフセットのあるディスクは極僅かですが曲がります。そのためジャダー回避というか制動向上のためディスクをフローティングするのです。マウントからリングで浮かしてあるため若干斜めでもおかしくないです。
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Q3:ちょっと教えて欲しいんですが、F,Rのキャリパーのピストンの飛び出し限界は何ミリですか? あと、正常なピストンの動きは?それとフルードの量は、ピストンを完全に戻した状態でスレスレ一杯くらいで正解?それもと新パッド取り付けた状態でスレスレ一杯が正解? 宜しくです |
A3:ではそれぞれの質問にお答えします。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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>F,Rのキャリパーのピストンの飛び出し限界は何ミリですか? そうですね、ディスクもパットも減ることを考えると消耗限界を知るためにも知っておきたい 所なんでしょう。 これについてはもちろんキャリパーのメーカーに聞けばキャリパーの数値は 判りますが正直に言ってあまり意味がありません。 というのは
目安なので約1〜1.5mm+ベース1mmそう考えると
リアのピストンがが飛び出る大凡の最大値が{27.4-(4.3+0.3+1.0+1.0)}/2=10.4mm未満 ピストンが半分も外に出る前に他の限界が来ているはずなのです。 |
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>正常なピストンの動きは? ・左右均等に出ること ・圧縮圧力が13.0kg/cu(限界9.1kg/cu)あること です。左右均等に出れば、ディスク、パット共に方減りするだけでなく、力も片側にかかるのでディスクの波打ちなどの原因になります。 また左のように汚れがたまったままで走行し続け、汚れを取らずにパット交換などを行えばピストンリング内やシリンダー内に埃が入り、動作を著しく悪くします。 定期的に清掃してほしいです。 |
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フルードの交換は年/回が理想 ロッキード DOT4 250ml ¥550/本 (PIT整備時のみ販売) |
>フルードの量は、ピストンを完全に戻した状態でスレスレ一杯くらいで正解? >それもと新パッド取り付けた状態でスレスレ一杯が正解? フルード交換時、左のような吸引するものを用いエアー抜きすることもあるでしょうし、手でひたすらエア抜きすることもその時注意したいのはエア抜きできた(レバーもフニャフニャでなくかかっている感がある)時、時間を置き確認のエア抜きとロールバックできないくらいピストンがすでに出てしまっている時はブレーキを引きずってしまっているので一度戻し、ブレーキがかかるくらいに再度持って行きます。 フルードの調整はここからです。車体は常に垂直(スタンドか誰かに手伝ってもらって車体を垂直に) ここで油面計でFULLのゲージに合わせます。間違っても並々と注がないで下さい。 蓋をする時にこぼれ塗装面を剥がしたり手にかかれば荒れます(すぐに手を洗ってください) リアのマスタータンクはボルトを外し前に出した状態で固定、そして注ぐほうが良いでしょう。ボトルがフレームにぶつかるため少ない量のフルードを注ぐのは危険。 タオル、ウエスをカップの周りに巻くと良いです。 マスターの組み方のミス(戻り金具の固定など)があるとカップから噴射することもありますカップ内を覗き込んでレバーを握ることはやまましょう。目に入れば失明することも。 並々とカップに注ぐと空気の層が出来ない為フルードがなかなか中に入っていかないのです(醤油ビンの原理だね) こんなところかね。 |
ブレンボのピストンに交換する | |
通称ヤマンボ・スズンボといわれる。 国産ブレンボキャリパーだが、 チタンピストンではないが十分な軽さがある。 見た目は全く変わらないのに196gの軽量ができる。 バネ下荷重を減らす有効策である。 今回使用したのはイナズマ400用スズンボの ピストンでシールと一緒に購入できる。 59100-03840 ピストンセット |
250ccはセンター出しする必要がある | ||
Goose用と書いてある社外品製品は 350cc用が前提で250cc250cc用に 出来ていると勝手に決めつけてはならない。 ブレンボのキャリパーサポートをセットしたが 左図の通りホイール側に寄っていてキャリパー とディスクが当たるギリギリ。 回転するから問題ない訳ではない。 左右から均等にピストンの圧力がかかるが ディスクに均等に力が働かないばかりか 新品のパットが入らないんじゃない?? |
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ピットにあった別のマウントとキャリパーで試す 結果は同じ。 アクスルシャフトは刺さっている。 ホークの回転で微妙に角度は補えるだろうが 自然に組んでこれは不味いね。 |
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フライスで1.0mm削ってみた。 | ||
センターが出たね。 シクネスゲージで細かく計って微調整するとして、左右隙間がしっかり見えるようになったね。 |